京都の税理士・中井康道税
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    京都の税理士中井康道の日常ブログ

    譲渡所得(その1)

    2012年9月29日

    今回から譲渡所得について、3回に分けて見ていきたいと思います。1回目の今回は、長期譲渡所得と短期譲渡所得の区分を、次回は、譲渡所得と税額の計算、次々回は、取得費と譲渡費用を見ていきます。

     個人が資産を譲渡して利益が出た場合には、その利益を譲渡所得として所得税・住民税がかかります。住宅などの不動産を譲渡して得た所得の場合には、給与所得(お勤め分)や事業所得(商売されている分)などの所得とは別に、所定の税率によって課税されます。

     土地建物の譲渡所得は、長期譲渡所得と短期譲渡所得に分類され、税額もそれぞれに分けて計算されます。長期譲渡所得とは、譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超えるものです。短期譲渡所得とは、譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下のものです。なお、土地建物の譲渡所得に損失が発生した場合は、その損失額を土地建物の長期譲渡所得あるいは短期譲渡所得から控除(差し引き)することはできます。しかし、その他の所得の額から控除することはできません。(ただし、特例によって控除できる場合があり、この点は機会を改めまして見たいと思います。)

    以上見てきましたが、今の経済状況等から一部のケースを除き、資産を譲渡して利益が出ることは難しいのが現状です。そうなれば、譲渡の税金はかからないけれども、他の所得と譲渡の損失分を差し引ける特例の要件に当てはまれば節税にもつながります。この点もまた見ていきましょう。

    弥生会計の古いバージョンを使っておられる方へ

    2012年9月27日

    実務をしていて気付いた点があるので、少し長くなりますので何度かに分けて書きます。とりあえず個人事業者を前提とします。

     

    弥生会計で自計化(会計事務所ではなく自分で会計ソフトに入力)されている方は多いと思います。確定申告をどのようにされるかはさまざまでしょうが、青色申告決算書までは自分で作成して、青色申告書(B様式)は税務署や納税協会などで聞きながら、あるいは、今日のIT社会ですし、E-TAXのHPで作成するという人も多いと思います。

     

    ちなみにヨイショするわけではないですが、国税庁の確定申告書作成システムはよくできています。年々改善もされていますし、税理士が関与せず自分で作成される方にはおススメです。

     

    一方で、会計ソフトは各社ほぼ同じ状態ですが、一般的にはお店やインターネットで購入してその年度は最新の税法に基づいて確定申告書を作成できます。

     

    ただ、税法は毎年改正されます。普通はその前年のバージョンでは確定申告書は作成できないため、別途、毎年保守契約を結んでバージョンアップ料を払えば最新の税法に準拠した青色申告書を作成できます。

     

    逆に言えば、一度ソフトを購入してしまえば、最新の青色申告書は作成できなくても、青色決算書までは作成できるのが一般的です(というか今回の話題では『でした』との過去形になります)。

     

    『会計ソフトをバージョンアップせずに自分で記帳+確定申告書はE-TAXなどでなんとかする』というのが、最も安価に確定申告書を仕上げる方法です。ただ、内容の正確性には問題があるのでしょうが。。。(つづく)

    総合課税と分離課税

    2012年9月23日

    今回は所得税の課税方式を見ていきます。所得税の課税方式には、総合課税と分離課税の2種類があります。総合課税は、1年間の所得を給与所得、事業所得などの種別に関係なく、合算して課税するものです。それに対して分離課税は、特定の取引を他の所得と合算せずに、別途課税するものです。不動産の売却などで、一時的に得た所得が多い場合、総合課税では所得全体に大きな税額が課税されるために、分離課税制度がある。総合課税か分離課税かは、あらかじめ決められており選択できないことになっています。
    ・総合課税 事業所得、不動産所得、配当所得、給与所得、一時所得、雑所得、土地建物以外の譲渡所得
    ・分離課税 利子所得、山林所得、退職所得、土地建物の譲渡所得

     ここで、所得税の課税方法を身近なものに置き換えて考えて見ましょう。この税金の掛けられ方をハンバーグ定食にイメージして見ます。ハンバーグ本体はひき肉や玉ねぎや卵など様々な材料がボウルの中で総合されます。一方、つけ合わせとして付くライスやコーヒー、サイドサラダといったものは単品で提供され、決してボウルの中でかきまぜられることはないはずです。
     ハンバーグ定食でいうところの本体を構成するものは、ひき肉や玉ねぎや卵をそれぞれ不動産所得、事業所得、給与所得など総合課税される所得に置き換えて見て下さい。一方、つけ合わせとして付くライスやコーヒー、サイドサラダといった単品でも提供可能なものを退職所得、株式の譲渡所得、山林所得など分離課税される所得に置き換えて見るとイメージとしてとらえやすいのではないでしょうか。(出典元 田中卓也氏 http://allabout.co.jp/gm/gc/44995/)

     以上見てきましたが、所得の種類に応じた課税方式が異なり、課税する際の「入り口」にあたります。この2種類の方式があることを覚えておいて下さい。

    贈与税(相続時精算課税の住宅取得資金)

    2012年9月17日

    当事務所スタッフのヨシです。相続時精算課税の住宅取得資金の贈与の特例を見ていきます。直系尊属である両親、祖父母などから住宅取得資金として贈与を受けた場合に、一定の金額が非課税となる制度です。この制度は、単独で使うことも、相続時精算課税制度と組み合わせて使うことも可能です。

    非課税枠1,000万円+(基礎控除額110万円又は相続時精算課税2,500万円)
    ※1 平成24年贈与の一般住宅の場合(省エネ性又は耐震性を満たす住宅は割愛します)
    ※2 平成25年贈与の一般住宅の非課税枠700万円
    ※3 平成26年贈与の一般住宅の非課税枠500万円

    適用要件は以下のとおりです。
    ①住宅取得に充てるために金銭の贈与を受け、実際にその金銭を住宅の取得資金に充てていること②直系尊属(父母・祖父母等)からの贈与であること③贈与を受ける者がその年の1月1日現在で20歳以上であること④贈与受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること⑤贈与の翌年3月15日までに住宅の引渡しを受け、同日までに居住していること⑥建物の登記簿面積が50㎡以上240㎡以下であること⑦中古住宅の場合は、建物の築年数がマンション等なら25年、木造等なら20年以内であること

    以上見てきましたが、上記非課税制度は平成24年度税制改正で特例の適用が3年間延長されました。経済を活性化させるために住宅購入の一つのカンフル剤として、この特例は当面は延長されていくのではないかと個人的には思っております。

    贈与税(相続時精算課税制度)

    2012年9月16日

    相続時精算課税制度を見ていきます。贈与税の課税制度には、暦年課税(110万円の基礎控除)と今回説明します相続時精算課税の2つの制度があります。相続時精算課税は、まず、贈与時に贈与財産に対する贈与税があれば贈与税を納税します。そして、贈与者が亡くなった時、その贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めている贈与税があれば贈与税額を控除することにより、贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。
    以下、内容や要件等を示しておきます。
    ・非課税枠 複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額)は2,500万円
    ・贈与税額 2,500万円を超えた部分に一律20%の税率を算定
    ・贈与者 贈与の年の1月1日現在で65歳以上の親
    ・受贈者 贈与の年の1月1日現在で20歳以上の子(子が亡くなっている時には20歳以上の孫を含みます。)
    ・受贈者の所得制限 なし
    ・贈与する財産 制限なし

     以上見てきましたが、この制度は値下がりが見込まれる土地などの財産を取得した場合は不利に働きます。逆に、将来相続が発生しないか、少額と見込まれる場合、相続発生時の有利不利を考慮することなく活用することも可能です。なお、この制度を選択すると、その年以降は暦年課税を選択できませんので、制度を選択する場合は十分にご注意下さい。次回は、相続時精算課税制度の住宅資金贈与について見ていきます。