京都の税理士・中井康道税
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    国等に対して財産を寄付した場合の特例(その2)

    2012年4月5日

    今回も前回に引き続き、寄付した際の課税関係を見ていきます。自治会への寄付をした場合を見ていきたいと思います。

    事例を挙げて説明しましょう。Aさんの所有する宅地200㎡(時価1,000万円相当)をAさんの住むB町の自治会に寄付しようと考えています。Aさんの今回の宅地の寄付について、譲渡所得は非課税になるのかどうかという問題です。

    地縁による団体というものがありまして、平成3年の地方自治法の改正により認められることとなりました、いわゆる町内会、自治会等が法人化したものです。従来、町内会、自治会等は人格のない社団としての地位しか認められませんでしたので、不動産を個人名義でしか登記できず、財産管理上の不便があり、これを解消するために法人化が認められたとされています(地方自治法260の2)。しかしながら、町内会、自治会等については、活動範囲が特定地域に限られていますので、B町自治会が法人化したといっても、租税特別措置法40条に規定する「公益を目的とする事業を営む法人」には該当しないことになります。

    以上見てきましたように、宅地を時価で譲渡したものとみなされて課税されますので、寄付の場合は注意が必要です。前回の学校法人を設立するために資産を寄付した場合のように原則は譲渡所得が課税されるが、公益を営む法人や公益の増進等に著しく寄与する場合などの要件に該当すれば例外的に申請を条件に非課税になる場合があることを押さえておいてもらうと良いです。

    国等に対して財産を寄付した場合の特例(その1)

    2012年4月1日

    以前に寄付をした場合の税額控除を見てきましたが、国等に対して財産を寄付した場合の課税関係を見ていきたいと思います。今回は、学校法人を設立するために資産を贈与した場合を見てみます。次回は、自治会への寄付を見ていく予定です。

    では、事例を挙げましょう。10数年前より個人で私立の幼稚園を経営している経営者Aさんがいます。このたび、この幼稚園を学校法人化することになり、Aさん所有の園舎とその敷地を法人設立のために寄付することになりました。この場合の課税関係はどうなるのかということです。

    法人に対して資産を贈与したときは、原則として、贈与したときの時価で譲渡したものとみなされ、譲渡所得が課税されます(所得税法59条)。ただし、民法34条の規定により設立された法人その他公益を目的とする事業を営む法人(学校法人、社会福祉法人、宗教法人等)に対する財産の贈与又は遺贈(法人を設立するためにする財産の提供を含みます。)で、これらの贈与又は遺贈が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する場合において、国税庁長官の承認を受けたときは、所得税は非課税となります。

    所得税が非課税とされる国税庁長官の承認を受けるための要件としては、贈与等した資産が贈与等があった日以後2年以内に贈与等を受けた法人の公益を目的とする事業の用に使用されるとともに、法人に対して財産の贈与等をすることにより、贈与者及び贈与者の親族その他これらの者と特別の関係がある者の相続税もしくは贈与税等の負担を不当に減少させる(不当に減少させるかどうかの判定は、ここでは割愛いたします。)結果とならないことが必要です。また、国税庁長官の承認は、寄付者からの申請により行うこととされており、その申請書は寄付後4ヶ月以内に寄付者の住所地を管轄する税務署長に提出しなければなりません(寄付後4ヶ月以内に、所得税の確定申告書の提出期限が到来する場合には、その確定申告書の提出期限までとなります。)。

    以上見てきましたが、実務上提出する申請書類は多岐にわたり、かなりの数の提出書類となります。この特例に該当見込みで申請をお考えの方は、税務署の資産税職員か専門家である税理士の方にご相談するのが賢明かと思っています。

    財産分与した側の課税関係

    2012年3月3日

    前回の2月25日の当ブログで、「贈与税の非課税財産」と題して、離婚等により財産を相手方からもらった場合は、原則として贈与税はかかりませんと見てきました。今回は、その逆の財産を相手方に渡した側の課税関係を見ていきます。

    事例で示しましょう。Aさんは長年連れ添ってきた妻Bと離婚することになり、家庭裁判所で調停が成立しました。この調停によりAさんは20年前に1000万円で購入したマイホーム(土地と建物)を別れた妻Bに財産分与しました。この場合、Aさんに課税は生じるのかという問題です。仮に本日平成24年3月3日に財産分与したとして、その時のマイホームの相場(時価と言います。)が5000万円だったとします。結論を申しますと、Aさんには所得税である譲渡(売却)所得が課税されます。譲渡所得の計算は、5000万円-1000万円=4000万円の譲渡益という値上がり益が出る計算になります。ただ、Aさんのマイホームにより、要件を満たす限り、3000万円控除は適用できます。

    参考までに、妻BさんがAさんより分与されたマイホームを第三者に5000万円で譲渡した場合も見ておきましょう。この場合、譲渡所得の計算は、5000万円-5000万円=0となり、値上がり益は出ないことになります。ここで、5000万円を差し引いている点について、ご説明いたします。Aさんのマイホームの相場が5000万円により、5000万円でAさんより購入したとみなすわけです。妻Bさんの取得時期は、このケースでは分与された平成24年3月3日となります。

    今回は、参考までに説明しました妻Bさんの計算方法が少しややこしかったかもしれませんね。このように見てくると、分与してもらった側は、分与された相場の額で第三者に売却した場合は、別れた妻(もしくは夫)に譲渡所得は結果的にかからないことになりますね。