2012年3月18日
今回は贈与税に関連して、相続時精算課税制度の概要等を見ていきたいと思います。次回は、この制度の中の住宅取得資金を見ていくつもりです。
贈与税の課税制度には、「暦年課税」(110万円を超える場合は、贈与税がかかる課税のことです。)と「相続時精算課税」の2つがあります。一定の要件に該当する場合には、相続時精算課税を選択することができます。この制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、(念のため、下記でご説明する特別控除額以内であれば、贈与税を納める必要はありません。)その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより、贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。
適用対象者は、贈与者(財産をあげる方)は65歳以上の親、受贈者(財産をもらう方)は20歳以上の子(子が亡くなっている時には20歳以上の孫を含みます。)とされています(年齢は贈与の年の1月1日現在)。
適用対象財産等につきまして、贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。
次に贈与税額の計算を見ておきます。贈与税額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額:2,500万円。ただし、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります。)を控除した後の金額に一律20%の税率を掛けて算定します。なお、相続時精算課税を選択した受贈者(子)が、相続時精算課税に係る贈与者以外の方から贈与を受けた財産については、その贈与財産の合計額から暦年課税の基礎控除額110万円を控除し、贈与税の税率表に対応する税率を適用し贈与税額を計算します。
注意点としましては、①相続時精算課税に係る贈与税額を計算する際には、暦年課税の基礎控除額110万円を控除することはできませんので、贈与を受けた財産が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要があります。②相続時精算課税は、受贈者である子のそれぞれが贈与者である父、母ごとに選択できますが、いったん選択すると選択した年以後、贈与者が亡くなった時まで継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。
以上、制度の概要等を見てきましたが、相続時精算課税は制度の導入から何年か経っていますので、納税者の皆さんには浸透していることと私の中では認識しています。今回は、特に精算課税制度を初めて見聞きした方に参考になればと思いました。