京都の税理士・中井康道税
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    財産分与した側の課税関係

    2012年3月3日

    前回の2月25日の当ブログで、「贈与税の非課税財産」と題して、離婚等により財産を相手方からもらった場合は、原則として贈与税はかかりませんと見てきました。今回は、その逆の財産を相手方に渡した側の課税関係を見ていきます。

    事例で示しましょう。Aさんは長年連れ添ってきた妻Bと離婚することになり、家庭裁判所で調停が成立しました。この調停によりAさんは20年前に1000万円で購入したマイホーム(土地と建物)を別れた妻Bに財産分与しました。この場合、Aさんに課税は生じるのかという問題です。仮に本日平成24年3月3日に財産分与したとして、その時のマイホームの相場(時価と言います。)が5000万円だったとします。結論を申しますと、Aさんには所得税である譲渡(売却)所得が課税されます。譲渡所得の計算は、5000万円-1000万円=4000万円の譲渡益という値上がり益が出る計算になります。ただ、Aさんのマイホームにより、要件を満たす限り、3000万円控除は適用できます。

    参考までに、妻BさんがAさんより分与されたマイホームを第三者に5000万円で譲渡した場合も見ておきましょう。この場合、譲渡所得の計算は、5000万円-5000万円=0となり、値上がり益は出ないことになります。ここで、5000万円を差し引いている点について、ご説明いたします。Aさんのマイホームの相場が5000万円により、5000万円でAさんより購入したとみなすわけです。妻Bさんの取得時期は、このケースでは分与された平成24年3月3日となります。

    今回は、参考までに説明しました妻Bさんの計算方法が少しややこしかったかもしれませんね。このように見てくると、分与してもらった側は、分与された相場の額で第三者に売却した場合は、別れた妻(もしくは夫)に譲渡所得は結果的にかからないことになりますね。

    居住用財産の譲渡

    2012年2月28日

    今回は所得税について見ていきたいと思います。マイホームすなわち居住用財産の譲渡(売却)があった場合、値上がり益が出た場合3,000万円までは申告をすれば税金はかかりません。この点は周知されてきて内容についても浸透しているんだと思っております。ただ、昨今の状況では、値上がり益を出そうにも、よほど昔に購入していない限り、まず利益を見込めませんよね。

    今回は少し切り口を変えまして、「居住」と一口で言っても、居住している期間が要件(条件)なのかどうか、見ていきます。この点は実務においても、納税者から「私の場合、5年以上住んでいるけれども、3,000万円までの控除は利用できますか。」あるいは、「たった1年間しか住んでいないけれども、3,000万円までの控除は利用できませんか。」といった具合です。結論から申しますと、居住年数は一切関係ありません。譲渡しようとする不動産が、あなたにとって「本拠地」かどうかなのです。ここで、「本拠地」とは、生活実態のある場所と理解してもらうと良いです。例えば、居住することは、寝食を伴いますし、細かいことを言いますと、生活する以上ゴミも出ます。その場所は生活の証(あかし)となる場所ですか、とも言い換えられます。

    裁判事例(どの裁判所だったか、裁判日は忘れてしまいましたが)で納税者がたった1日だけ住んでいただけですが、裁判所は納税者の本拠地と認めた事例があります。このケースは確かに極端なケースですが、1日住んでいても生活の証があったということです。

    生活の本拠ということでは、マイホームの売却のみならず、裁判事例でも訴訟の争点で見聞きすることはあると思いますが、イメージをつかんでいただければ幸いです。