京都の税理士・中井康道税
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    相続人の資格があっても、相続できない場合

    2012年2月19日

    今回は、相続人の資格があっても相続できない場合もあることを見ていきたいと思います。相続人の資格(配偶者や子供、父母等)があっても相続できない場合があるとは、①相続欠格(民法891条)と②相続廃除(民法892条)の二つの制度のことなのです。

    ①相続欠格とは、その相続に関することで犯罪に触れる行為をした場合や違法なことをした場合に、その人を初めから相続人にしないことです。②相続廃除とは、被相続人に対し侮辱行為をしたり、著しい非行があった場合に、生前に相続をさせたくない人を家庭裁判所に申し立てて、相続人から外すことです。これは、遺言でもできることになっています。

    このように見てきますと、上記二つのケースは、ある意味当然相続人にはなれない人ですよね。こんな人に亡くなった方の財産を相続させるなど、常識的配慮に欠けるもので、納得いただけますね。

    相続人の範囲(特殊なケース)

    2012年2月12日

    前回は、一般的なケースを見ていきましたが、今回はその他の特殊なケースを見ていきます。相続では、人の死亡がきっかけとなって、新たに複雑な問題が浮上することがあります。ここでは、数例を挙げて、検証してみます。

    ①胎児の場合 仮に、死亡された男性が、その妻だけを残されて他界された場合、相続人はその妻と、死亡された男性の父母とで分けるのが民法の建前です。しかし、妻が身ごもっていた場合に胎児は、相続の権利を持ちます(民法886条1項)。つまり、相続に関しては、胎児は既に生まれたものとみなされます。②非嫡出子(ひ・ちゃくしゅつしと呼びます。) 法律上の婚姻外で授かったお子さん(正式な婚姻の届出をしていない婚姻つまり内縁のこと。)の場合、死亡した父親が認知(自分の実子であると認めること。)していれば、相続人となります。ただし、相続分は、嫡出子(非嫡出子の反対用語。正式な婚姻届出による婚姻で授かった子供。)の半分です。③連れ子 子供がいる女性が再婚し、その夫が亡くなった場合、その女性は配偶者として相続の権利はありますが、そのお子さん(連れ子)には、相続の権利はありません。その子供にも相続させたい場合、その夫が生前にその子供と養子縁組を行えば良いことになります。④遺言が「全財産を家族以外の特定の女性に譲る」となっていた場合 この内容の遺言がまかり通るなら、残された家族は大変困ったことになります。そこで、法は、このような遺言はそのまま認めません。配偶者や残された子供たちに、最低限保証された相続分の割合を決めているのです。これが、遺留分(いりゅうぶんと呼びます。)と言われる制度です。

    参考までに、実務で①のケースだけは目の当たりにしたことはありません。今回のケースはどのケースも確かに「特殊」ですよね(笑)次回は、代襲相続を見ていきたいと思います。

    相続人の範囲

    2012年2月11日

    前回、法定相続人の概要を見ましたが、今回は相続人の範囲の一般的なケースを見ていくことにします。

    相続人の範囲は、配偶者、子供、父母、祖父母(父母や祖父母のことを直系尊属と呼びます。)、兄弟姉妹(法律用語では、けいていしまいと呼びます。)です。被相続人に子供がいる場合、直系尊属や兄弟姉妹は相続人にはなれません。日本の法律の考え方は、一義的に財産を直系の子孫に残すことにしています。しかし、子孫がない場合に限り、被相続人の両親が相続したり、兄弟姉妹が相続したりすることもあります。

    次の5つに分類ができます。①被相続人に配偶者と子供がいる場合⇒配偶者と子供だけが相続人となり、直系尊属と兄弟姉妹は相続人になれません。②相続人の子供だけがいる場合⇒子供の全員が相続人になります。③被相続人の配偶者と直系尊属がいる場合⇒配偶者と被相続人の直系尊属が相続人になります。④被相続人の配偶者はいるが、子供がなく直系尊属もいない場合⇒配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。⑤被相続人に配偶者も子供もなく、直系尊属もいない場合⇒被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。このとおり見てきましたように、配偶者は必ず、相続人の範囲に含まれることがわかります。

    では、次回は、相続人の範囲のその他の特殊なケースを見ていきたいと思います。