京都の税理士・中井康道税
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    国税と地方税

    2012年8月6日

    このブログを見ていただいている方に「税」について少しでも興味を示していただく意味で、用語を中心にアップしていきたいと思います。今回は、国税と地方税を見ていきたいと思います。

    国税とは、国がかける税金のことです。例えば、所得税、法人税、(増税論議になっている)消費税、相続税、贈与税などです。

    地方税とは、地方自治体(京都なら府税事務所、区役所のこと)がかける税金のことです。地方税(京都を例にします)は府税と市町村税(京都市なら市税、久御山町なら町税、南山城村なら村税)とに分かれます。府税なら例えば、府民税、地方消費税、自動車税などです。市町村税なら例えば、市町村民税、固定資産税、軽自動車税などです。

    あくまで例示をしましたが、実際には国税も地方税も非常に種類が多いです。税を勉強するなら、まずはどんな種類があるのかが出発点です。次回から、順次用語の説明に入っていきます。「税は難しい」と言われます。確かに専門的で奥深いですが、用語の壁があるのかなと個人的には思っています。このブログでそんな皆さんの悩みを解消できれば幸いです。

    海外居住者が相続税の申告書に添付する印鑑証明書

    2012年8月5日

    当事務所スタッフのヨシです。少々特殊なケースを考えて見ます。早速事例を示します。

    被相続人甲は、今年4月に死亡しました。共同相続人のうち、Aは米国籍を有し、米国に居住しています。幸いにも、今、日本に帰国していますので、遺産分割協議を行い相続税の申告書を提出したいと考えています。この場合の添付書類はどんなもので証明すれば良いのかという問題です。

    回答は、米国籍を有するAの場合、印鑑証明書は取れませんのでパスポートで身分を証明し、アメリカ領事館又は公証人役場で同人の署名について認証を受けることができます。それを以って印鑑証明書に代えて遺産分割協議書に添付すれば良いことになります。なお、米国領事は、公証人の資格を持ち、私署証書の認証事務を行うことになっていますので、その認証は、日本の印鑑証明書に代わる役割を持っています。

    私の実務経験上、このケースは数件見てきました。参考になさって下さい。

    遺言書の内容と異なる遺産の分割

    2012年8月4日

    当事務所スタッフのヨシです。今回は、遺言書の内容と異なった遺産分割があった場合には、あくまで遺言書の内容によるのか、それとも遺産分割協議によるのかという問題を考えてみたいと思います。では、具体的事例を見ましょう。

    先月父が死亡し、相続人は長男、母と妹の3人です。父の遺産は、土地A(評価額8,000万円)、土地B(評価額6,000万円)、預貯金3,000万円、その他家財等500万円です。遺産について、相続人間で分割しようとしたところ、遺産のうち土地Bを長男に与える旨の遺言書がありました。しかし、相続人らは遺言書の内容と異なる遺産の分割協議を行い、長男は土地Aを、母は土地Bと家財等を、妹は預貯金の全部をそれぞれ取得することにしたケースです。

    回答は、各人の課税価格は、相続人全員で行われた分割協議の内容によることになります。長男への遺贈は特定遺贈であると思われますが、相続人全員の協議で遺言書の内容と異なる遺産の分割をしたということは、特定受遺者である長男が遺贈を事実上放棄し、共同相続人間で遺産分割が行われたとみるのが相当と考えられます。

    特定遺贈とは、遺産のうちの特定の遺産を指定して行うもので、一般にはこの方法で遺言する場合が多いようです。特定遺贈について、受遺者は原則として、遺言者の死亡後いつでも遺贈の放棄をすることができます(民法986条)。遺贈が放棄されると、放棄は遺言者の死亡時にさかのぼってその効力が生じます(民法986条2項)ので、遺贈の目的物は共同相続人に帰属することになります(民法995条)。

    以上見てきましたが、私の実務経験上、このケースの相談はほとんどなかったので、見受けることはなかったです。参考になさって下さい。

    遺産分割協議書(その2)

    2012年7月29日

    前回に続き、遺産分割協議書について見ていきます。被相続人Aさんの相続人は、妻と子供2人の計3人とします。今回の事例は、3人で協議した結果、妻が遺産を全部取得することになり、子供2人は相続放棄した場合です。相続放棄は、家庭裁判所への申述(今回は家庭裁判所への相続放棄の方法については、割愛いたします。)によらずに、書面で2人とも相続放棄すると交わした場面を考えて見ます。

    上記事実関係を踏まえて、後日有価証券(株式)が時価に換算して1,000万円相当が漏れていたことが判明します。既に子供は2人とも相続放棄していますので、妻が有価証券(株式)を相続できるのかという問題です。答えは、子供2人にも改めて遺産の分割協議できる権利が出てきます。ここでのポイントは、家庭裁判所への申述による相続放棄ではなく、書面で交わしていることです。書面で交わしている以上、表に出ている遺産分割協議書の遺産内容では相続放棄したものの、後日遺産が出てくれば、話しは別だということです。
    話し合いのテーブルに付けるということなのです。逆に、家庭裁判所へ相続放棄していた場合は、後日遺産が出てきても協議できる権利はないことになります。相続開始に遡り、放棄する意思表示を取ったことになります。

    実際のところ、相続放棄の場合、家庭裁判所へ手続きを踏むか、書面で交わすか、どちらが主流なのかは分かりません。家庭裁判所へ手続きを踏む方法があることは知っていても、実際相続の場面では、時間の面や煩雑さ等の理由から書面で交わすケースが多いのではないかと個人的には思っています。是非参考になさって下さい。

    遺産分割協議書(その1)

    2012年7月28日

    当事務所スタッフのヨシです。今回は、相続税の申告書に添付する書類の一つである遺産分割協議書を取り上げたいと思います。遺産分割協議書の様式や記載方法等に触れるのではなく、若干ながら法的な問題にも波及する内容を見てみたいと思います。次回も同様の関連事項に触れる予定です。

    例えば、被相続人Aさんの相続人が配偶者と子供2人の計3人いたとします。3人で遺産分割の協議をする際に、遺産分割協議書に「後日新たな財産が発覚して出てきた場合、配偶者がその財産を取得するものとする。」と一文を記載したケースを考えて見ます。上記で言うところの新たな財産は例えば、有価証券(株式)だと考えて下さい。税務上は、遺産分割協議書でどの財産を誰が取得するかの特定をしていますので、この一文の有り無しで影響は全くありません。法的にはどうかと言いますと、今表に出ている財産については協議できているので問題はないのですが、新たな財産が出てきた場合は、改めて相続人間で協議する権利が出てきます。結論から言いますと、遺産分割協議書に上記内容の文言を記載したところで、意味がないことになります。

    私の実務経験から上記のケースを1件見たことはあります。もし、敢えて記載するのであれば、「後日新たな財産が判明して出てきた場合は、相続人間で改めて協議をすることとする。」と記載すれば良いと思います。あるいは、このような文言自体を最初から記載しないか、どちらかにされるのがよろしいでしょうね。