京都の税理士・中井康道税
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    趣味又は娯楽に係る行為から生じた損失

    2012年4月28日

    今回は、趣味又は娯楽に係る行為から生じた損失とゴルフ会員権の譲渡損失との関係を見ていきたいと思います。主として個人の趣味や娯楽などの生活に通常必要でない資産を譲渡して生じた損失は、原則として他の所得から差し引くことはできません(所得税法69条2項、所得税法施行令200条。損益通算の対象とならない損失の控除の規定。)。

    ここで、損益通算とは、各種所得の金額の計算において、損失(赤字)が生じた場合には、一定の順序(ここでは順序については割愛いたします)により損失を他の各種所得の金額(黒字)から控除することができる取り扱いをいいます(所得税法69条)。

    ゴルフ会員権の譲渡損失が生じた場合はどうでしょうか、「そもそも、ゴルフ会員権は趣味又は娯楽に係る行為から生じた損失になり、損益通算できるのか理解できない。」と思われた方は多いのではないかと思います。生活に通常必要でない資産とは、主として個人の趣味や娯楽又は保養のために所有している資産で次のようなものをいいます(所得税法施行令178条1項)。①競走馬②貴金属、書画骨董、その他鑑賞の目的となる盆栽や宝石などの動産③別荘などの趣味、娯楽、保養又は鑑賞などの目的で所有する家屋等の不動産です。これを読む限り、どこにも「ゴルフ会員権」は含まれていないので法律上の解釈としては、ゴルフ会員権は生活に通常必要でない資産には当てはまらないことになります。皆さんは、やはり腑に落ちないかもしれませんし、納得できないのが本音だと察します。この問題は法律論ではないのです。要するに国会議員に関わってくる問題です。国会議員の大半はゴルフ会員権を所有しています。会員権を生活に必要でない資産に該当し、譲渡損失できない法改正されてはたまったものではないのです。以前からこの問題は指摘されていたないようですが、国会議員に反対をされ続け、現状の規定となっています。

    今回の内容は税法よりも「税金よもやま」として雑学の知識として入れておいて下さい(笑)。

    小規模宅地の特例

    2012年4月22日

    今回は相続税の評価上、減額できる特例制度の小規模宅地の特例を見ていきます。

    小規模宅地の特例とは、相続や遺贈によって土地を取得した場合に、その土地の中に被相続人が自宅として住んでいたり、事業に使用していた小規模な宅地又は、国の事業に使用していた小規模な宅地があったときは、その土地が被相続人の生活の基盤になっていたことなどに配慮して、宅地の評価額の一定割合を減額できる制度のことです。

    特例の対象となる宅地とは、次の全ての要件に当てはまる宅地をいいます。①相続開始の直前において、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた親族の事業の用又は居住の用に使用されていた宅地等であること②建物や構築物(駐車場のアスファルト舗装、看板、塀などのこと)の敷地の用に使用されていたこと③販売用の資産でないこと④一定の限度面積までの部分であること⑤相続税の申告の提出期限までに遺産分割されていること。なお、遺産が申告期限までに分割されていない場合には、他の要件を満たしていても、適用を受けることはできません。申告期限までに遺産分割が間に合わなかった場合には、一旦小規模宅地の評価減を適用しないで納税と申告を済ませておきます。その後、申告期限から3年以内に遺産分割協議が整ったときは、その日の翌日から4ヶ月以内に限り、更正の請求という手続きによって、税金を返してもらうことができます。

    評価の減額割合(平成22年4月1日以後の相続)は宅地の種類によって異なります。①特定事業用宅地等(※1) 400㎡まで80%減額(評価額の20%を計上すれば良い)②特定居住用宅地等(※1) 240㎡まで80%減額③ ①と②以外の小規模宅地等(※2) 200㎡まで50%減額(評価額の50%計上すれば良い)

    ※1 特定事業用宅地等と特定居住用宅地等の制度や要件等は割愛いたします。※2 不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業などは含まれます。

    特定を受けるためには、相続税の申告書(申告書第11表の付表1、付表2)に、この特例を受ける旨を記載し、計算に関する明細書、その他一定の書類を添付する必要があります。

    以上見てきましたが、相続税のかかるような納税者の方は、持ち家を持っている方は多いと思います。上記の特定居住用宅地等に当てはまらなかった場合でも、上記の特例対象宅地に該当又は分割ができていれば、最低限200㎡までの50%の減額は認められるので評価上恩典のある特例です。この特例は存続していくものだと考えております。

    借地権と底地

    2012年4月21日

    今回は、売却や相続それに贈与の対象となる、よく見聞きする借地権と底地(そこち)について見ていきたいと思います。

    借地権とは、借地借家(しゃくち・しゃっか)法(従前は借地法と呼ばれていましたが、これも含みます。)に基づく借地権(建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権)をいいます。つまり、建物の所有を目的とする、賃借権等に基づく敷地利用権のことです。この場合の建物と敷地利用権を合わせたものが借地権付き建物です。ほとんどの借地権は、賃貸借契約に基づく債権です。借地権は債権でありながら、所有権等の物権と同様に売買・相続・贈与の対象とすることができます。

    次に、底地とは、宅地について借地権の付着している場合における宅地の所有権をいいます。借地権と底地は、コーヒーカップとお皿の関係に例えられます。両者は一体となってその価値を形成する一方で、前者は単独でも敷地利用という機能を果たしますが、後者はそれだけでは機能をほとんど発揮できないからです。ちなみに、「底地権」という用語は慣行的に使われているようでもありますが、専門に仕事に従事されている職業人は底地権とは使用しない用語です。

    以上見てきましたが、もともとは戦後土地が空いていた所に、土地所有者に頼んで借地権者が土地を借り、地代を払い家を建てさせてもらいました。時を経てこの借地権の権利が高いものとなりました。地主と借地権者双方びっくり驚いているのです。

    同じ土地に権利を有する地主と借地権者に関しては、借地権者が強く保護されています。住まいということが人の生活における基盤でありそれを保護するというのが趣旨なのでしょうか

     

     

    相続税の総額のあん分割合の計算方法

    2012年4月15日

    今回取り上げる内容は、相続税額を計算する際に、相続税の総額を各相続人の相続税額にあん分する割合の端数を切り上げや切り下げといった調整をして計算して良いものかという問題です。では、事例を挙げて見ましょう。

    夫が死亡して妻が3分の1、長男が3分の2を相続することになりましたが、相続税額を計算する過程において、相続税の総額を各相続人の相続税額にあん分する場合の割合を妻0.33、長男0.67とせず、妻0.34、長男0.66として申告をして差し支えないのかという問題です。回答としては、妻0.34、長男0.66として申告をしても良いことになります。このことは、通達(相続税法基本通達17-1)の取り扱いが下記のとおり、あります。

    小数点以下2位未満の端数がある場合において、その財産の取得者全員が選択した方法により、各取得者の割合の合計値が1になるようその端数を調整して、各取得者の相続税額を計算されているときは、その計算でも差し支えないものとして取り扱っています。

    このように見てきますと、上記の例で長男は納税者有利となり、妻は結果的に納税者有利とはなっていませんが、ひとえに計算の便宜上の措置を取っているものだと考えられます。

    財産の分割の協議に関する書類

    2012年4月14日

    今回は、相続税の申告書に添付することとされている「財産の分割の協議に関する書類」、「その他の財産の取得の状況を証する書類」とはどんな書類をいうのか、見ていきたいと思います。

    「財産の分割の協議に関する書類」とは、共同相続人又は包括受遺者(遺言者の財産を特定することなく、その全部又は一部を受ける特定の者のことです。)が、相続又は遺贈に係る財産の分割について協議した事項を記載した書類です。その書式は特に定まっているわけではありませんが、その書類にその相続に関する全ての共同相続人又は包括受遺者が自署し、これらの者の住所地の市区町村長の印鑑証明とその証明を得た印を押して作成された書類をいいます。また、相続人のうちに未成年者がいる場合には、その未成年については、家庭裁判所で特別代理人の選任を受けて、その特別代理人が未成年者に代わって遺産の分割協議を行います。その者が自署し、その者の住所地の市区町村長の印鑑証明を得た印を押している書類をいいます(日本に住所がない者の場合は、公証人役場の認証をもって印鑑証明書に代えることができます。)。

    「その他の財産の取得の状況を証する書類」とは、その財産が調停又は審判により分割されているものである場合は、その調停の調書又は審判書の謄本をいい、その財産が法の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされた財産である場合(生命保険金、死亡退職金など)には、その財産の支払通知書等その財産の取得を証する書類をいいます。

    以上見てきましたとおり、法では、財産の分割協議に関する書類等という表現のように漠然としか記載されていない関係で、わかりづらいと思いますが、具体的に上記のように挙げました。参考にしていただければ幸いです。