京都の税理士・中井康道税
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    公的年金等の方の確定申告

    2012年3月1日

    以前の2月2日付の当ブログで、「確定申告始まる」と題して、公的年金等に係る雑所得を有する方の確定申告方法が変更になった点を触れました。内容は、公的年金等の収入金額が400万円以下で他の所得金額が20万円以下の場合は確定申告は不要となりました。今回はこの関連で私の住民税の実務で実際に遭遇した納税者の方のケースを紹介したいと思います。

    納税者Aさんは、区役所の市民税の窓口に来ました。Aさんの昨年の収入は、公的年金(源泉徴収票の支払い金額は300万円)と公的年金以外に郵貯の確定年金(書面を持参し、収入金額100万円、必要経費50万円、所得金額50万円。所得税の金額は忘れてしまいましたが、差し引かれていました。)があります。Aさんは窓口に来所して開口一番、「この確定年金を公的年金と一緒に市民税の申告をすると、それだけ市民税が多くなるから、この確定年金を除外して公的年金のみ申告して良いものか。根拠は、確定年金の方は所得税が差し引かれているので、精算済みだと考えている。」との申し出内容でした。

    私は、Aさんは申告の方法を選択(公的年金のみ申告しても良いし、公的年金と確定年金を一緒に申告しても良いと本人に選択権が認められている)できると勘違いしていることをすぐに察しました。Aさんに指導しましたのは、確かに確定年金は所得税が差し引かれているが、あなたの場合の確定年金の所得金額は50万円であるので、他の所得が20万円を超えているので税務署で合わせて申告をする必要があると。Aさんも誤解が解けたようで、税務署でその足で申告に行ってくるとのことで、私も理解してもらって良かったと思えたそんな1日でした(笑)

     

    ポイントカード

    2012年2月29日

    ここでは割と気楽な話を。

    ここ数年はポイントカードが全盛である。たいていは1%くらいの率だが家電量販店などは10%以上になるものもある。それは例外としても1%くらいであってもチリツモである。

    この前、家電量販店での店内放送を聞いたが、ポイントよりも現金値引きをうたっていた。例えば10%のポイントか10%の値引きかどっちが有利か。

    例えば10000円の買い物をする。10%のポイントがつくと1000ポイントである。それで1000円の乾電池を買えば残りは0である。

    次に10000円の買い物をして10%の割引を受ければ9000円である。残りの1000円で1000円の乾電池を買って10%の値引きを受ければ100円残る。

    ということは同率のポイントと値引きであれば値引きの方が有利である。

    簡単に言えば(店によって異なるのであろうが)ポイントによる買い物にはポイントがつかないというのがポイントになる話である。

    皆、知っている話かもしれないが、上新電機にてふと真剣に考えてしまって納得した(笑)

     

     

     

    居住用財産の譲渡

    2012年2月28日

    今回は所得税について見ていきたいと思います。マイホームすなわち居住用財産の譲渡(売却)があった場合、値上がり益が出た場合3,000万円までは申告をすれば税金はかかりません。この点は周知されてきて内容についても浸透しているんだと思っております。ただ、昨今の状況では、値上がり益を出そうにも、よほど昔に購入していない限り、まず利益を見込めませんよね。

    今回は少し切り口を変えまして、「居住」と一口で言っても、居住している期間が要件(条件)なのかどうか、見ていきます。この点は実務においても、納税者から「私の場合、5年以上住んでいるけれども、3,000万円までの控除は利用できますか。」あるいは、「たった1年間しか住んでいないけれども、3,000万円までの控除は利用できませんか。」といった具合です。結論から申しますと、居住年数は一切関係ありません。譲渡しようとする不動産が、あなたにとって「本拠地」かどうかなのです。ここで、「本拠地」とは、生活実態のある場所と理解してもらうと良いです。例えば、居住することは、寝食を伴いますし、細かいことを言いますと、生活する以上ゴミも出ます。その場所は生活の証(あかし)となる場所ですか、とも言い換えられます。

    裁判事例(どの裁判所だったか、裁判日は忘れてしまいましたが)で納税者がたった1日だけ住んでいただけですが、裁判所は納税者の本拠地と認めた事例があります。このケースは確かに極端なケースですが、1日住んでいても生活の証があったということです。

    生活の本拠ということでは、マイホームの売却のみならず、裁判事例でも訴訟の争点で見聞きすることはあると思いますが、イメージをつかんでいただければ幸いです。

    保険契約者を変更すると贈与になるの?

    2012年2月26日

    今回も贈与の関連として見ていきたい内容があります。生命保険の契約者を変更すると贈与になるのかという問題です。事例を示しましょう。よろず屋生命保険会社に加入しているAさんがいます。Aさん加入の保険契約の内容は、被保険者(保険の対象者)はAさん、保険契約者(保険料の負担者と考えて下さい。)はBさん、保険の受取人はCさんです。ここで、満期金の下りる前に保険契約者をBさんからCさんに変更しました。この場合、CさんはBさんから贈与を受けたことになるのかという問題です。

    贈与税は出口課税と言われます。出口課税とは、上記の例で満期金が実際に下りて受取人のCさんの口座に入金となって初めて課税が生じるということです。満期金が下りる前に、保険契約者をBさんからCさんに変更しましてもCさんには贈与は発生しないということです。今回の変更後に満期が下りてCさんの口座に入金となった場合の課税関係は省略させていただきます。と言いますのが、BさんとCさんによる両者の場合分けの説明が必要となり、この件は機会を改めまして触れたいと考えています。

    贈与税は出口課税とも言われる意味を理解していただければ、十分です。

    贈与税の非課税財産

    2012年2月25日

    今回は、贈与税のかからない場合はどんな場合なのか、見ていきます。贈与を受けた人は、原則として贈与税が課税されます。しかし、次の場合には、贈与税は課税されません。他にもありますが、主だったものを見ていきます。

    ①法人からの贈与により取得した財産 法人からの贈与により取得した財産には、贈与税は課税されません。贈与税は、そもそも相続税を補完するもの(相続税から逃げられないようにするもの)であるためです。しかし、一時所得である所得税が課税されます。

    ②生活費、教育費 扶養義務者間で生活費や教育費に充てるため取得した財産には、贈与税は課税されません。生活費や教育費とは、通常の日常生活に必要な費用や、学費・教材費などに充てるための費用を言います。なお、これらの費用として渡されたものでも預貯金など取得者の財産になったものには、贈与税が課税されます。

    ③精神や身体に障害のある人に対する財産 条例により、精神や身体に障害のある人に対し共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利には、贈与税は課税されません。また、国内に居住する特別障害者(障害者手帳を持っている1級や2級の方)が特別障害者扶養信託契約に基づいて信託受益権(信託銀行に資産すなわち債権や不動産等を預けて運用してもらい、その資産から生まれる収益と元本を受け取る権利のこと。)の贈与を受けた場合には、6,000万円まで贈与税が課税されません。(税務署への届出は必要となります)

    ④離婚による財産分与 離婚により相手方から財産をもらった場合、原則として、贈与税は課税されません。財産の分与ですから、贈与ではないためです。しかし、分与された財産の額が事情を考慮してもなお多すぎる場合は贈与税(多すぎる部分に贈与税)が課税されます。また、離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合は贈与税(財産全てに贈与税)が課税されます。

    私の実務経験では、上記②と④は比較的よく見てきました。参考にして下さい。