京都の税理士・中井康道税
こんにちは中井康道です。お金や税にまつわるお話しを紹介いたします。
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    みなし贈与財産とは

    2012年2月23日

    今回は贈与税の続きとしまして、みなし贈与財産とはどんなものか、見ていきたいと思います。みなし贈与財産とは、金銭贈与のような民法上の贈与財産には当たらないが、経済的な利益を受けているため、贈与があったものとみなされて贈与税の課税を受ける財産のことです。主だったものを3つ挙げておきたいと思います。もちろん、これ以外にもあるのですが、下記の内容は押さえておいていただきたいと思います。

    ①保険料を負担していない人が、満期金、解約返戻金、亡くなった方による生命保険金等を受け取った場合には、保険料を負担した人からその保険金の贈与があったものとみなされます。参考までに、被保険者(保険の対象になっている方)の死亡により受け取った生命保険金のうち、被保険者が保険料負担者であったものについては、相続とみなされて相続税の対象になります。贈与とみなされる具体的な例は、父が掛けていた保険の満期金を子が受け取った場合や保険料負担者が母で、父の死亡による生命保険金を子が取得した場合です。なお、贈与税や相続税では、保険契約者ではなく保険料負担者が誰なのか重要になってきます。

    ②子が父から時価3,000万円相当の土地を1,000万円で譲り受けた場合には、差額の2,000万円の贈与があったものとみなされます。

    ③子が親に債務の返済をしてもらった場合には、子は父からその返済をしてもらった額の贈与があったものとみなされます。

    今回の事例はよく見受ける事例だと思っておりますので、参考にしていただければ幸いです。

    贈与税

    2012年2月21日

    今回は贈与税を見ていきたいと思います。

    例えば、夫が妻へ誕生日に指輪を贈ったり、国家試験に合格した息子にお祝いとして親が車をあげたり、また恋人同士がプレゼントを贈ったりしたとします。これらは、民法上の贈与に当たり、このとき、お金や物をあげた(贈与した)人は、「贈与者」、お金や物をもらった人は「受贈者」と言います。この場合、贈られたお金や物が110万円の基礎控除(110万円を基準にしているとお考え下さい。)額を超えると、もらった人(受贈者)に贈与税がかかります。

    上記の例であれば、指輪をもらった妻、車をもらった息子、プレゼントを贈られた恋人に税金がかかることになります。ただし、贈与となるのは、双方の合意がある場合です。つまり、財産をあげる人が「財産を渡します」と意思表示し、もらう人も「はい、もらいます」と意思表示して、贈与ということになります。一方的に、「はい、あげます」と言っても、もらう人が「はい、もらいます」と意思表示しないと贈与にはなりません。

     ところで、なぜ贈与税がかかるのでしょうか。それは、相続するときだけ課税して、贈与をする(生前に財産を渡す)ときに課税をしなければ問題が生じます。なぜなら、生きている間に全ての財産を贈与してしまえば、全く税金を支払わなくて済むからです。これでは、相続税の意味がありません。したがって、贈与税は必要なのです。このように、贈与税は相続税を補完しており、相互に密接な関係があるので、共に相続税法に規定されています。つまり、贈与税法というものはなく、贈与税も相続税法で規定されているのです。

    ここでは、税金の世界において相続と贈与が密接な関係にあるという事を覚えておいて下さい。

     

    年の中途で退職した住民税はどうなるの?

    2012年2月20日

    今回はちょっとマイナー(マイナーと表現しましたのは、身近でありながら、所得税等のような目立った税目でないという意味での個人的観測です。)な住民税(市府民税のことです。)に焦点を当ててみました。今回取り上げたい事例は、給与所得者が年の中途で退職した場合の住民税の納付の件を考えてみます。

    事例を示しましょう。Aさんは44歳で公務員でしたが、税に携わった経験から税理士になりたいと考えました。思い悩んだ挙句、役所を平成23年の7月に退職した場合を考えてみます。そもそも住民税の課税というのは、給与所得者(サラリーマン)の場合、毎月の給与から差し引かれ(このことを特別徴収制度と言います。)勤務先が本人に代わって翌月10日までに納付しているところが大半だと思います。

    住民税の「年度」は特に注意を要するところ。所得税は暦年で計算しますが住民税は1年遅れになります。今の時期であれば平成23年分(税務署で使う表現)が住民税は1年遅れの平成「24年度」という表現に変わります。

    上の例で言いますと、平成23年7月に辞めているということは、平成22年中は勤務していたことにより、退職していないのなら、平成23年6月から平成24年5月までの1年間で勤務先から差し引かれる予定でした。

    しかし、平成23年7月で退職したため、勤務先から6月分と7月分は差し引いて精算はできていますが、残り平成24年5月までの10ヶ月間は本人Aさんが自身で納付することになります。住民税の納期は4期(6月8月10月1月)により、納期の期間で納付することになります。納税者によっては、金額も高額になる場合もあり、また、退職している関係で支払えない場合も出ることに問題がはらみます。区役所から請求が来た場合、住民税の課税方法がそのようになっていることを頭に入れておいて下さると良いです。

    相続人の資格があっても、相続できない場合

    2012年2月19日

    今回は、相続人の資格があっても相続できない場合もあることを見ていきたいと思います。相続人の資格(配偶者や子供、父母等)があっても相続できない場合があるとは、①相続欠格(民法891条)と②相続廃除(民法892条)の二つの制度のことなのです。

    ①相続欠格とは、その相続に関することで犯罪に触れる行為をした場合や違法なことをした場合に、その人を初めから相続人にしないことです。②相続廃除とは、被相続人に対し侮辱行為をしたり、著しい非行があった場合に、生前に相続をさせたくない人を家庭裁判所に申し立てて、相続人から外すことです。これは、遺言でもできることになっています。

    このように見てきますと、上記二つのケースは、ある意味当然相続人にはなれない人ですよね。こんな人に亡くなった方の財産を相続させるなど、常識的配慮に欠けるもので、納得いただけますね。

    代襲相続

    2012年2月18日

    今回は、代襲(だいしゅうと呼びます。)相続を見ていきます。「代襲」とものものしい言葉を使っていますが、構えて頂くことは何らありませんので、見ていきますね。

    代襲相続とは、被相続人(亡くなった方)に子供がいたのですが、その子供さんが被相続人より先に死亡していたりして相続できない場合などに、その子供さんの子供(被相続人から見れば、孫にあたります。)が相続する権利があるとする制度のことです(民法887条第2項第3項)。また、お子さんがいない夫妻の場合、ケースにより甥や姪まで相続できる制度です(民法889条第2項)。

    事例を示しながら、説明をします。①例えば、80歳で亡くなられた方がいて、残された家族は妻だけで、子供はいなかったとします。遺言書もありませんでした。妻は自分だけが相続できるものと思い、遺産である土地建物の登記相談に法務局へ行きました。②ところが、法務局職員から言われたことに妻は、驚きました。何故かと言いますと、亡くなった夫の兄弟姉妹を戸籍から確認は必要だが、生存している可能性と、仮に兄弟等が亡くなっていたとしても、その兄弟等の子供たちがいれば、その子供たちまで相続の権利があると言われたからです。③この場合、妻は相続財産全体の4分の3の権利があるとするのが、民法の考え方です。それ以上の権利をもらいたい場合はどうすれば良いかと言いますと、遺産分割協議が必要となってきます。

    このように見ていきますと、子供さんのいない夫婦には、遺言書がメリットある制度で活用すべきかもしれません。そうすれば、兄弟姉妹には前回学習した「遺留分」自体がありませんから、全て妻が相続できることになります。