京都の税理士・中井康道税
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    相続時精算課税制度(住宅取得資金)

    2012年3月24日

    今回は、住宅取得資金の贈与の概要を見ていきます。次回は具体的な計算方法を、次々回は直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合を見ていきたいと考えています。

    平成23年12月31日までに(注意点 平成24年度税制改正があり、平成24年から平成26年まで延長されることになりました。)親から住宅取得資金の贈与を受けた20歳以上の子供が、贈与を受けた年の翌年の3月15日までにその住宅取得資金を自己の居住に使用する一定の家屋(※)の新築又は取得をし自己の居住に使用した場合は、贈与者である親が65歳未満であっても相続時精算課税制度を選択することができます。なお、増改築の場合も要件を満たせば該当しますが、ここでは割愛いたします。

    ※一定の家屋とは、次の要件を満たす家屋を言います。①家屋の登記簿上の床面積が50㎡以上であること。②購入する家屋が中古の場合は、家屋の構造によって次のような制限があります。ⅰ耐火建築物(鉄筋等)である家屋の場合は、その家屋の取得日以前25年以内に建築されたものであること。ⅱ耐火建築物以外(木造等)の家屋の場合は、その家屋の取得日以前20年以内に建築されたものであること。ただし、地震に対する安全性に係る基準に適合するものとして、一定の「耐震基準適合証明書」又は「住宅性能評価書の写し」により証明されたものについては、建築年数の制限はありません。③床面積の2分の1以上に相当する部分(この要件は、商売されている方を想定しています。)が居住に使用されているものであること。

    手続きとしまして、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、贈与税の申告書、相続時精算課税制度選択届出書(税務署の様式。国税庁のホームページからも入手できるはずです。)、住民票、登記事項証明書(法務局)など一定の書類を添付して受贈者(住宅資金をもらった方)の納税地の所轄税務署に提出する必要があります。

    以上、住宅資金の贈与を見てきました。この制度は政策的要素が大きいと考えられています。いつまでにもらった住宅資金贈与かといった、通常時限立法措置を置いていますが、個人的には住宅購入という経済のカンフル剤の効果等から、当面は延長拡充していくと考えています。

    確定申告終わる

    2012年3月21日

    こんにちは。

    今年も確定申告が終わりました。一つ感じたことを述べますと、23年からは年少扶養家族の扶養控除が廃止されました。15歳以下の子供は扶養控除取れなくなった訳です。

    その分、子ども手当をもらっているので差し引きでは得なのでしょうが、税金だけ見れば増税です。

    では、どのように節税するかと言えばこれが難しい。一番簡単なのは社会保険料関係であろう。

    年金については議論があるものの、国民年金の保険料は全額が社会保険料控除の対象になる。明らかに生命保険料控除より有利である。保険料の節税効果を考えたら将来的には支払った金額分くらい年金で返してもらえたら十分に元はとれる。

    また準公的な制度であるが、小規模企業共済の掛け金も全額が控除の対象になる。簡単に言えば自営業者や小規模な会社経営者の退職金を外部拠出するものである。

    このように将来に備えつつ節税を図るのが良いと思う。

     

     

     

     

     

     

    相続時精算課税制度

    2012年3月18日

    今回は贈与税に関連して、相続時精算課税制度の概要等を見ていきたいと思います。次回は、この制度の中の住宅取得資金を見ていくつもりです。

    贈与税の課税制度には、「暦年課税」(110万円を超える場合は、贈与税がかかる課税のことです。)と「相続時精算課税」の2つがあります。一定の要件に該当する場合には、相続時精算課税を選択することができます。この制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、(念のため、下記でご説明する特別控除額以内であれば、贈与税を納める必要はありません。)その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより、贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。

    適用対象者は、贈与者(財産をあげる方)は65歳以上の親、受贈者(財産をもらう方)は20歳以上の子(子が亡くなっている時には20歳以上の孫を含みます。)とされています(年齢は贈与の年の1月1日現在)。

    適用対象財産等につきまして、贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。

    次に贈与税額の計算を見ておきます。贈与税額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額:2,500万円。ただし、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります。)を控除した後の金額に一律20%の税率を掛けて算定します。なお、相続時精算課税を選択した受贈者(子)が、相続時精算課税に係る贈与者以外の方から贈与を受けた財産については、その贈与財産の合計額から暦年課税の基礎控除額110万円を控除し、贈与税の税率表に対応する税率を適用し贈与税額を計算します。

    注意点としましては、①相続時精算課税に係る贈与税額を計算する際には、暦年課税の基礎控除額110万円を控除することはできませんので、贈与を受けた財産が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要があります。②相続時精算課税は、受贈者である子のそれぞれが贈与者である父、母ごとに選択できますが、いったん選択すると選択した年以後、贈与者が亡くなった時まで継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。

    以上、制度の概要等を見てきましたが、相続時精算課税は制度の導入から何年か経っていますので、納税者の皆さんには浸透していることと私の中では認識しています。今回は、特に精算課税制度を初めて見聞きした方に参考になればと思いました。

     

    個人住民税における寄附金税額控除

    2012年3月14日

    今回は、個人住民税における寄附金税額控除を見ていきます。都道府県・市区町村や住所地の都道府県共同募金会・日本赤十字社支部に対する寄附金、住所地の都道府県・市区町村が条例で指定した寄附金を支出した場合は、個人住民税(翌年度)において寄附金税額控除を受けることができます。この寄附金税額控除を受けるには、所得税の確定申告又は住所地の市区町村に申告を行っていただく必要があります。なお、注意点としまして、住民税の控除を受けるために、住所地の市区町村に申告書を提出した場合、所得税の控除は受けられません。

    特定寄附金を下記の主な4つを挙げておきます。

    ①国又は地方公共団体に対する寄附金(学校の入学に関して寄附するものは特定寄附金には該当しません。)②震災関連寄附金(国又は東日本大震災により著しい被害が生じた地方公共団体に対して支出した寄附金)③政治活動に関する寄附金(1)政党(2)政治資金団体(3)その他の政治団体で一定のもの④国の控除対象寄附金の内、都道府県・市区町村が条例で指定する寄附金。

    税額控除額の計算式は(寄附金(※1)-2千円)×10%(※2) ここでは、都道府県・市区町村に対する寄附金であるふるさと寄附金の計算式は割愛いたします。※1 総所得金額等の30%が限度 ※2 都道府県が指定した寄附金は4%、市区町村が指定した寄附金は6%。都道府県と市区町村両方が指定した寄附金の場合は10%

    以上、住民税の寄附金税額控除を見てきましたが、所得税の寄附金控除を受けたい場合は、必ず税務署で申告手続きをして下さい。そうすると、自動的に住民税の方でも要件を満たす寄附金であれば税額控除できることになります。

     

    寄附金控除

    2012年3月11日

    今回は寄附金控除(通常寄附金控除と言う場合に「附」を使います。法人税法上の寄付金と言う場合には、「付」を使います。)を見ていきます。

    寄附金控除とは、個人が地方公共団体や公益団体に対して寄付した場合に所得税や住民税のうち、寄付した額について所得控除(基礎控除を除く一定の条件を満たした場合に、所得額から一定の金額を差し引くことができる制度のこと。所得控除が大きいほど課税対象額が少なくなるので、その結果、税額も少なくなるもの。)あるいは税額控除(一定の条件を満たす場合に、税額すなわち、課税対象額×税率で算出された税額から、直接一定の金額を差し引くことができる制度のこと。

    身近な税額控除は、住宅ローン控除です。)を認める制度のことです。納税者が、特定寄附金を2,000円を超えてした場合に、特定寄附金の額(合計額がその方のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の40%が上限)から2,000円を差し引いた額をその方のその年分の所得から差し引くことができる制度です。つまり、実質的に寄付した分に相当する額の所得にかかる所得税が免除されるのと同じ効果を得ることができることになります。

    特定寄附金とは、以下に掲げる以外に他にもありますが、ここでは、主だったものを例示しておきます(所得税法78条2項)。

    1 国又は地方公共団体に対する寄附金 2 日本赤十字社

    また、特定寄附金とみなされるもの(所得税法78条3項)に、以下の団体に対する政治活動に関する寄付をした場合の寄附金控除の特例(租税特別措置法41条の18)もあります。

    1 政治資金規正法に定める政党 2 政治資金団体

    政党及び政治資金団体に関する寄付に適用される所得税額の特別控除は税額の30%なので、所得が高い場合に寄附金控除を選択する方が節税となります。

    以上、寄附金控除を見てきました。今日は、東日本大震災から1年を迎えます。その関連として寄附金控除を取り上げましたが、早期の復旧復興を願い、いつまでも忘れてはならないと思います。次回は、住民税の寄附金控除を見ていくつもりです。