京都の税理士・中井康道税
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    所得控除額の誤りやすい事例(その2)

    2012年7月1日

    前回に引き続き、今回は障害のある方を扶養している場合の扶養控除を見ていきたいと思います。ここでは、例えば、障害の程度が3級以下の一般障害の方(年齢も特定扶養や年少扶養に該当しない40歳だと仮にします。)を扶養しているケースを考えます。所得税法上の扶養控除に該当すれば、上記のケースであれば、扶養控除38万円以外に障害者控除が27万円加算できます。

    では、扶養されている障害3級の40歳のAさんがアルバイトをしていて、所得金額38万円を超えた場合どうなるのかが、今回の取り上げた問題です。当然ながら扶養控除は外れますが、Aさんは障害をお持ちなので、この障害者控除だけは適用できるのか。それとも、障害者控除も外れるのかという問題です。結論は、障害者控除も扶養控除も全て適用できません。このケースだとAさんを扶養をしている納税者に相当税金負担が生じてきます。

    上記のケースはアルバイト等の就労ができる方なので、一般障害の3級以下の方が想定はされるかと思います。収入で103万円を超えるケースですので、事例としては少ないかもしれません。私も実務で上記のケースは1件だけ見たことはあり、非常に稀なケースと認識しています。こんなケースもあるのだと参考にしてもらえれば良いと思います。

    所得控除額の誤りやすい事例(その1)

    2012年6月30日

    今回は私の独断ではありますが、一見所得控除額で誤りやすい事例を見ていきたいと思います。今回は地震保険料控除で、次回は障害のある方を扶養している場合の扶養控除を見ていきたいと思います。

    地震保険料控除の控除額は下記のとおりです。

    (1)地震保険料 年間支払保険料の合計5万円以下 控除額は支払金額 支払保険料5万円超 控除額は5万円

    (2)旧長期損害保険料(平成18年12月31日までに締結した契約で満期返戻金等があり、保険期間または共済契約が10年以上の一定の要件を満たす契約) 年間の支払保険料の合計1万円以下 控除額は支払金額 支払保険料1万円超2万円以下 控除額 支払金額÷2+5千円 支払保険料2万円超 控除額 1万5千円

    (3) (1)と(2)両方ある場合 (1)、(2)それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高5万円)

    今回の本題である、同一の物件に地震保険料及び旧長期損害保険料の両方使える場合の控除額はどうなるのかと言う問題です。この場合、地震保険料又は旧長期損害保険料のいずれか一方の控除しか使えないことになります。

    実際のケースでは、今回取り上げた同一物件に地震保険料と旧長期損害保険料が両方使える契約は非常に稀なケースであることは実務で感じてきたことです。ですので、今回のような控除額計算に過敏に留意していただく必要はないかもしれませんが、参考になさって下さい。

     

    任意調査と強制調査

    2012年6月17日

    今回は、前回で見た個人課税部門や資産課税部門の仕事に関連して、税務調査の種類を見ていきたいと思います。

    (1)任意調査 税務調査というと、強制調査(通称マル査)をイメージされる方が多いかもしれませんが、通常の税務調査は、確認のために行われるものであり、納税者の同意を基としたいわゆる任意調査と位置付けられています。任意調査に関しては、各税法に規定されています。ただ、任意調査においても不答弁(税務職員の質問に対して答弁しないこと)、及び調査拒否等(例えば、税務職員の帳簿調査について帳簿を提示しない等)については、罰則が規定されています。刑事犯においては、自らの不利になることについての証言拒否など被疑者の不答弁が認められていますが、税務調査については、調査受忍義務が課せられています。

    (2)強制調査 不正の手段を使って故意に税を免れた者には、社会的責任を追及するため、正当な税を課す他に刑罰を科すことが税法に定めれています。こうした者に対しては、任意調査だけではその実態が把握できないので、強制的権限を持って犯罪捜査に準ずる方法で調査し、その結果に基づいて検察庁に告発し、公訴提起を求める制度すなわち査察制度が設けられています。この査察制度は、国税犯則取締法に基づいて行われる質問・調査・領置であり、裁判所の許可を得て臨検・捜索・差し押さえを行うこともできます。なお、その執行には、各国税局に配置された国税査察官が当たることになっています。査察事案についてはしばしば、検察庁への告発ということが考えられますが、税務調査から検察への告発ということはありません。国税調査官は、厳しい守秘義務が課されており、公務員の告発義務と守秘義務とは税務調査においては守秘義務が優先すると考えられるからです。

    このように見てきますと、通常の調査では確認できないような悪質で大口な脱税案件などの場合には、国税犯則取締法による強制調査が行われることとなります。通常の税務調査は、指導調査であり正しい申告の指導が目的です。不必要に警戒したり、恐れたりすることはありません。

    資産課税部門の仕事

    2012年6月10日

    こんにちは、スタッフのヨシです。私は中井事務所に籍を置く傍ら、学者を目指して勉強していますが、かつての職場についてお話しします。

    今回は、前回の個人課税部門の仕事に続き、資産課税部門の仕事を見ていきたいと思います。私は、かつて資産課税部門で仕事に携わってきた経験から、知っていただきたいと思っています。では、簡単に概略を下記のとおり、見ていきます。

    相続、贈与及び資産の譲渡に係る業務を行っています。大きく2つに分かれての業務です。①相談・指導・調査 相続税や贈与税、所得税のうち、土地や株式等の譲渡所得について、申告等の相談・指導・調査を行っています。②路線価の決定 相続税の計算に必要な土地評価の基準となる路線価などを決める事務も資産課税部門の仕事です。

    私の経験から特に相続税や譲渡所得税(譲渡所得は最近ではもっぱら損失の赤字が多いですが、バブル時期は納税額も高額となっていました。)は税額も高額となり、特例も含め計算方法等の相談は多かったですね。調査に関しては、機会があれば、相続税の調査の実態を守秘義務に抵触しない範囲で(笑)お話ししたいです。相続税の調査に行く納税者の自宅は、さすがに立派な邸宅が多かったことを思い出します。

     

    国税庁の組織

    2012年6月9日

    今回は、テーマをがらりと変えて国税庁の組織を見ていきたいと思います。図を示すと、下記のとおりとなります。その中で今回は身近な税務署の個人課税部門の仕事を見ていきます。次回は資産課税部門の仕事を見ていきます。

    組織図

    (出典元 国税庁http://www.nta.go.jp/soshiki/saiyo/organization/index.htm)

    個人課税部門の仕事 個人事業者の所得税や消費税についての業務を行っています。下記のとおり、大きく3つに分かれての業務です。①相談・調査 所得税や消費税について、申告等の相談・調査を行います。②指導 個人事業者向けの各種説明会や青色申告のための記帳指導を行っています。③「自書申告」の推進 毎年2月16日から3月15日まで所得税の確定申告期間です。納税者自身に申告書を作成してもらう「自書申告」を推進するため、ITを活用した施策を進めています。

    このように見てきますと、さすがに国家財政を担う国税庁の組織は巨大な組織であり、仕事の内容もそれぞれ多様化しているのがおわかりですね。