京都の税理士・中井康道税
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    任意調査と強制調査

    2012年6月17日

    今回は、前回で見た個人課税部門や資産課税部門の仕事に関連して、税務調査の種類を見ていきたいと思います。

    (1)任意調査 税務調査というと、強制調査(通称マル査)をイメージされる方が多いかもしれませんが、通常の税務調査は、確認のために行われるものであり、納税者の同意を基としたいわゆる任意調査と位置付けられています。任意調査に関しては、各税法に規定されています。ただ、任意調査においても不答弁(税務職員の質問に対して答弁しないこと)、及び調査拒否等(例えば、税務職員の帳簿調査について帳簿を提示しない等)については、罰則が規定されています。刑事犯においては、自らの不利になることについての証言拒否など被疑者の不答弁が認められていますが、税務調査については、調査受忍義務が課せられています。

    (2)強制調査 不正の手段を使って故意に税を免れた者には、社会的責任を追及するため、正当な税を課す他に刑罰を科すことが税法に定めれています。こうした者に対しては、任意調査だけではその実態が把握できないので、強制的権限を持って犯罪捜査に準ずる方法で調査し、その結果に基づいて検察庁に告発し、公訴提起を求める制度すなわち査察制度が設けられています。この査察制度は、国税犯則取締法に基づいて行われる質問・調査・領置であり、裁判所の許可を得て臨検・捜索・差し押さえを行うこともできます。なお、その執行には、各国税局に配置された国税査察官が当たることになっています。査察事案についてはしばしば、検察庁への告発ということが考えられますが、税務調査から検察への告発ということはありません。国税調査官は、厳しい守秘義務が課されており、公務員の告発義務と守秘義務とは税務調査においては守秘義務が優先すると考えられるからです。

    このように見てきますと、通常の調査では確認できないような悪質で大口な脱税案件などの場合には、国税犯則取締法による強制調査が行われることとなります。通常の税務調査は、指導調査であり正しい申告の指導が目的です。不必要に警戒したり、恐れたりすることはありません。