京都の税理士・中井康道税
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    遺言書の内容と異なる遺産の分割

    2012年8月4日

    当事務所スタッフのヨシです。今回は、遺言書の内容と異なった遺産分割があった場合には、あくまで遺言書の内容によるのか、それとも遺産分割協議によるのかという問題を考えてみたいと思います。では、具体的事例を見ましょう。

    先月父が死亡し、相続人は長男、母と妹の3人です。父の遺産は、土地A(評価額8,000万円)、土地B(評価額6,000万円)、預貯金3,000万円、その他家財等500万円です。遺産について、相続人間で分割しようとしたところ、遺産のうち土地Bを長男に与える旨の遺言書がありました。しかし、相続人らは遺言書の内容と異なる遺産の分割協議を行い、長男は土地Aを、母は土地Bと家財等を、妹は預貯金の全部をそれぞれ取得することにしたケースです。

    回答は、各人の課税価格は、相続人全員で行われた分割協議の内容によることになります。長男への遺贈は特定遺贈であると思われますが、相続人全員の協議で遺言書の内容と異なる遺産の分割をしたということは、特定受遺者である長男が遺贈を事実上放棄し、共同相続人間で遺産分割が行われたとみるのが相当と考えられます。

    特定遺贈とは、遺産のうちの特定の遺産を指定して行うもので、一般にはこの方法で遺言する場合が多いようです。特定遺贈について、受遺者は原則として、遺言者の死亡後いつでも遺贈の放棄をすることができます(民法986条)。遺贈が放棄されると、放棄は遺言者の死亡時にさかのぼってその効力が生じます(民法986条2項)ので、遺贈の目的物は共同相続人に帰属することになります(民法995条)。

    以上見てきましたが、私の実務経験上、このケースの相談はほとんどなかったので、見受けることはなかったです。参考になさって下さい。