京都の税理士・中井康道税
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    医療費控除(その3)

    2013年1月24日

    では、拡大傾向にある医療費控除という点につき、説明していきます。

    ・拡大傾向にある医療費控除・・・福祉の充実といった政策も関係し、また、医学の世界が日進月歩であるため、医療費控除の対象も徐々に拡大傾向にあります。例えば、近年の税制改正では、以下のようなものが医療費控除の適用になるものとして認められました。

    ①介護保険制度のもとで「1」から「5」の要介護認定の適用を受けた場合に、指定介護老人福祉施設に入所する介護費の標準負担額の2分の1

    ②血縁者以外から骨髄移植を受けた患者が財団法人骨髄移植財団に支払う負担金

    ③いわゆるメタボ検診を受けた結果、高血圧症、脂質異常症又は糖尿病と同等の状態であると認定され、かつ、引き続き医師の特定保健指導が行われた場合の自己負担額

    ④レーシック手術の費用

    ⑤角膜矯正療法の費用などです。

    本来、医療費控除の趣旨とは、「健康な人より病気がちな人のほうが生活が大変」といった、納税者の担税力(税金を負担する能力)にその考え方の基礎がありますので、時代の変化に伴い、より弾力的に運用されるべきではないでしょうか。

    医療費控除(その2)

    2013年1月23日

    前回に引き続き、医療費控除を見ていきます。今回は、医療費控除に該当しないものに共通するキーワードを説明します。

    ・医療費控除に該当しないものに共通するキーワード・・・医師やあん摩・マッサージ・指圧・柔道整復師が行う場合には、医療費控除の対象となりますが、資格を有しない人が行う場合には対象外となります。また、コンタクトや眼鏡の場合も医師により治療上必要とされ、治療方法に合致するものであれば医療費控除の対象となります。「不妊治療」も目的が治療ですから、医療費控除の対象となるのです。

     反対に、医療費控除に該当しないものから何らかのキーワードは見つけ出せないでしょうか。例えば、「予防接種の・・・」「美容のための・・・」「疲労回復」「健康増進」といったあたりがキーワードとなります。

    インプラントや歯列矯正の費用は「咀嚼(そしゃく)障害のための・・・」ということであれば、医療費控除の対象となりますが、「美容目的のための・・・」ということであれば対象外となります。つまり、医療費控除の適否で該当するか否かで最も重要視されるのは、治療目的や療養目的であれば良いのですが、健康維持や治療目的、療養目的以外であれば駄目ということです。

     したがって、治療のための風邪薬の購入費は医療費控除の対象となりますが、インフルエンザの予防接種は健康維持のためとなるので、医療費控除の対象にならないのです。おわかりいただけましたか。次回は、拡大傾向にある医療費控除を見ていきます。

    医療費控除(その1)

    2013年1月21日

    今回から医療費控除について、何回かに分けて更新していきます。毎年、確定申告シーズンを迎えると、必ず頂戴するのがこの質問です。それは「この分は医療費控除になりますか?なりませんか?」というものです。キーワードに気が付けば、意外と簡単に整理できます。見ていきましょうね。

    ・医療費控除できるもの、できないもの・・・以下は、一般に医療費控除に該当するものと、しないものの一覧表です。ここから読み取れるのは、医療費控除に該当するものには医師又は歯科医師に代表される一定の資格者であることの定義付けがされています。さらに、薬局で購入した風邪薬に代表されるように、医療の目的が問われるものは「○」(医療費控除の対象となります)。その一方で、単なる転地療養が「×」(医療費控除の対象とならない)により、一定の施設でなければ医療費控除の対象外という考え方が読み取れます。

    図表:筆者作成undefinedあくまで代表的なケースの例示です

    (出典元:田中卓也氏「医療費控除できるもの、できないもの」http://allabout.co.jp/gm/gc/22245/2/

    次回は、医療費控除に該当しないものに共通するキーワードについて見ていきます。

    確定申告(その8)

    2013年1月20日

    では、確定申告の関連を見てきましたが、その8として最終弾とさせていただきます。今回は確定申告の申告方法と確定申告を行う際の注意点を見ていきます。

    ・確定申告の申告方法…申告する方法は次の2つから、利用しやすい方法を選んで下さい。

    1.必要な申告書等を税務署等で入手し、税務署に持参あるいは郵送する。

    2.国税庁のホームページの確定申告書等作成コーナーで申告書を作成し、プリンターで印刷し持参あるいは郵送する。また、作成した申告書を税務署に送信し確定申告すること(e-tax)もできます。

    ・確定申告を行うときには

    1.誰が申告するとメリットが最大か(医療費控除、社会保険料控除など)

    2.申告することで世帯全体では、所得税がアップすることはないか(扶養控除との関係)

    3.源泉徴収済みの所得は確定申告でメリットがあるか(退職所得、雑所得、配当所得、株式等の譲渡所得の売却益など)など、世帯全体で納付する所得税額の検討が必要です。

     以上見てきましたように、目先の還付額に目がくらんで、あとで泣く方も少なくありません。慎重に計算してじっくり検討しましょう。次回は医療費控除を見ていく予定です。

    確定申告(その7)

    2013年1月17日

    では、今回は、申告すべきところ申告しないとどのようなことが待ち受けているかという点と、還付申告の受け付け期間を見ていきます。

    ・申告納税しないと大変

    例えば、給与所得者で給与収入が2,000万円超えの方や不動産所得がある方など、確定申告をしなければいけない方が申告納税しないと、納付すべき所得税に、「加算税」「延滞税」などの税金が加算されます。「加算税」「延滞税」の金利は高いのです。必ず期限内に確定申告しましょう。

    ・還付申告は確定申告期間外でも受付

    医療費控除などのように、「還付申告」の場合は期間外でも受け付けています。2月15日以前に申告すると所得税の還付を早く受けることができますし、税務署でも比較的ゆっくりと相談に乗ってもらえます。必要書類がそろっているのであれば、2月16日より前に還付申告することをお勧めします。間に合わなかった場合は3月16日以降でも申告することができます。なお、確定申告し忘れた還付申告は過去5年間に遡ることができます。

    以上みてきましたが、次回は、確定申告の申告方法や確定申告を行うときの着眼点等を見ていく予定です。