京都の税理士・中井康道税
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    ジャンル別記事/確定申告・所得税

    法人への低額譲渡

    2012年5月12日

    今回は法人(企業あるいは会社)に対して低額すなわち相当安い金額で売却した場合の課税について見ていきたいと思います。では、事例を見ていきましょう。

    Aさんは、所有していた宅地を知人の経営する会社に4,000万円で売却しました。この土地の時価は1億円するのですが、Aさんは売却価額の4,000万円で所得金額の計算をし、申告しても良いのかどうかという問題です。

    この場合、時価の1億円で資産を譲渡したものとみなされて所得税がかかります。法人に対して、時価(正常な市場価額)の2分の1に満たない金額で譲渡した場合には、時価により資産の譲渡があったものとみなされます(所得税法59条1項2号、所得税法施行令169条)。また、その資産を譲り受けた法人は、譲り受けた価額と時価との差額(このケースでは6,000万円)について受贈益として益金の額に算入しなければなりません(法人税法22条2項)。

    以上見てきましたが、注意点があります。同族法人(家族経営又はファミリー企業)に対して時価より低い対価で譲渡があった場合には、たとえ譲渡価額が時価の2分の1以上であっても、その行為が同族会社の行為計算否認規定(今回は割愛をさせていただきます。所得税法157条)の対象となるものであるときには、時価により譲渡があったものとして譲渡所得課税が行われます(所得税基本通達59-3)。参考になさって下さい。

    とにかく取引は『時価』が基本ですね。

    三者交換

    2012年5月6日

    今回は前回の延長として、三者交換を見ていきます。では、事例を挙げて見ましょう。

    Aと友人B、Cは、それぞれ居宅を建設する予定の宅地を所有しています。転勤等により勤務の場所が変わりましたので、下記図のように交換して居宅を建築することになりました。なお、交換する宅地は、いずれも1年以上所有しており、また、価値も同じく交換に際しての差金の授受はない場合のケースです。              

     

                                                                                                      

    AはCの宅地を交換で取得したものを、Bの宅地と交換しています。また、B、Cについても同様です。この場合は、固定資産の交換の特例は適用されません。よって、交換により取得した資産の価額により譲渡があったものとして所得税が課税されます。私の実務経験から申しますと、三者交換は特例の適用が受けられないことの認識は浸透しているのか、相談で1件受けたくらいです。個人同士の二者交換しかも等価交換は比較的多かったように思います。参考になさって下さい。

                                                                                                                            

    固定資産の交換の場合の課税の特例

    2012年5月5日

    今回は、固定資産の交換の場合の課税の特例(所得税法58条)の特例の内容そのものを見るのではなくて、下記の挙げている要件の一つについて、取り上げて見ます。取り上げる理由は、文言上から一見誤解してしまいそうな内容ですので、ピンポイントで見ていきたいと思います。固定資産(業者が販売用で所有している資産は棚卸資産と呼ばれ、棚卸資産は該当しません。)を交換した場合、次の要件の全てに当てはまる時には、譲渡がなかったものとして取り扱う特例の適用を受けることができます。①交換する資産は同種の固定資産であること②交換譲渡資産も交換取得資産も、それぞれの所有者が1年以上所有していたものであり、しかも、交換の相手方が持っていた資産は交換の目的で取得したものではないこと③交換による取得資産を、譲渡資産の譲渡直前の用途に使用すること④資産の価額の差額(等価ではなく、時価の異なる交換の場合)が、いずれか高い方の価額の2割以内であること

    上記要件の下線を引いた「交換の相手方が持っていた資産は交換の目的で取得したものではないこと」の要件に注目下さい。一見、交換の相手方を例えばAさんとして、Aさんがあたかも主観的に「交換」目的のために取引していないことまで、交換譲渡人が立証すべきなのかといった感が文意から取れなくもないです。これはそのように解するのではありません。Aさんが交換しようとしている物件例えば宅地を売買等で取得するのではなく、「交換」によって取得した場合、交換の特例は受けられないということです。次回はその根拠事例に三者交換を見ていきますので、そこでまた説明をいたします。

    上記の例のように、相手方が交換目的で取得したものではないことがどうやってわかるのかと疑問を感じられたかもしれませんが、確定申告において交換の特例の適用の際、その添付書類に登記事項証明書(交換譲渡物件と交換取得物件の双方)を添付してもらいます。これで所有期間1年以上と、取得原因がわかります。参考になさって下さい。

     

    譲渡による付帯収入金(その2)

    2012年4月30日

    今回は、受領した協力金の取り扱いについて見ていきたいと思います。事例で見ていきましょう。

    友人は5年前に団地造成用地として畑を5000万円で売却しました。全体の用地買収は最近になってようやく完了し、最近の買収単価は友人が売却した時に比べて相当高額となったため、協力金として500万円を受け取りました。契約した時にこのような金銭を受け取る約束はなかったが、この500万円の課税関係はどうなるのかという問題です。

    回答は、協力金を受領した年の一時所得として申告をする必要があります。この場合、当初の売買契約では、協力金等の支払いが全く予定されておらず、買収完了後に当事者が協議して協力金等の支払いを定めたわけですから、当初契約とは独立した契約に基づき行われたものと判断されます。

    譲渡による付帯収入金(その1)

    2012年4月29日

    今回は、譲渡による付帯収入金として税金負担分を見ていきたいと思います。次回はその2として協力金名目で受領した場合を見ていきたいと思います。では、事例を見ていきましょう。

    不動産業者の熱心な求めに応じ、父から相続した宅地200㎡を2000万円で売却しました。この土地の売却に伴う所得税と住民税は買主である不動産業者が負担する条件を付けて念書を取り交わしていましたので、土地代金の他に税金相当分として500万円も併せて受け取りました。譲渡所得の申告の際、この税金相当分の500万円はどのように取り扱われるのかという問題です。

    回答としては、土地代金2000万円に税金相当分500万円を加算した金額を譲渡所得の収入金額として申告することになります。不動産取引において本来の売買契約金額以外に、特約条項や覚書、念書又は口頭により買主が税金負担等を行う旨の約定をし、支払いが行われることがあります。こうして支払われた金銭は、売買契約金額には表現されていないものの、売主にすれば、その付帯収入金を含んだ代金を受領することが確定されたわけですので、これは売却物件の対価の一部となります。したがって、税金負担など別途名目で支払われる金銭も売却物件の対価として取り扱われることになります。