京都の税理士・中井康道税
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    固定資産の交換の場合の課税の特例

    2012年5月5日

    今回は、固定資産の交換の場合の課税の特例(所得税法58条)の特例の内容そのものを見るのではなくて、下記の挙げている要件の一つについて、取り上げて見ます。取り上げる理由は、文言上から一見誤解してしまいそうな内容ですので、ピンポイントで見ていきたいと思います。固定資産(業者が販売用で所有している資産は棚卸資産と呼ばれ、棚卸資産は該当しません。)を交換した場合、次の要件の全てに当てはまる時には、譲渡がなかったものとして取り扱う特例の適用を受けることができます。①交換する資産は同種の固定資産であること②交換譲渡資産も交換取得資産も、それぞれの所有者が1年以上所有していたものであり、しかも、交換の相手方が持っていた資産は交換の目的で取得したものではないこと③交換による取得資産を、譲渡資産の譲渡直前の用途に使用すること④資産の価額の差額(等価ではなく、時価の異なる交換の場合)が、いずれか高い方の価額の2割以内であること

    上記要件の下線を引いた「交換の相手方が持っていた資産は交換の目的で取得したものではないこと」の要件に注目下さい。一見、交換の相手方を例えばAさんとして、Aさんがあたかも主観的に「交換」目的のために取引していないことまで、交換譲渡人が立証すべきなのかといった感が文意から取れなくもないです。これはそのように解するのではありません。Aさんが交換しようとしている物件例えば宅地を売買等で取得するのではなく、「交換」によって取得した場合、交換の特例は受けられないということです。次回はその根拠事例に三者交換を見ていきますので、そこでまた説明をいたします。

    上記の例のように、相手方が交換目的で取得したものではないことがどうやってわかるのかと疑問を感じられたかもしれませんが、確定申告において交換の特例の適用の際、その添付書類に登記事項証明書(交換譲渡物件と交換取得物件の双方)を添付してもらいます。これで所有期間1年以上と、取得原因がわかります。参考になさって下さい。