京都の税理士・中井康道税
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    ジャンル別記事/相続税

    法定相続人の順位と範囲

    2012年9月9日

    今回も前回の関連で、法定相続人の順位と範囲を見ていきます。
    第1順位の相続人・・・被相続人(亡くなった方)に子がある場合には、子と配偶者が相続人となります。配偶者が死亡している場合は、子が全部相続します。

    第2順位の相続人・・・被相続人に子がない場合には、被相続人の父母と配偶者が相続人となります。配偶者が死亡している場合は、父母が全部相続します。

    第3順位の相続人・・・被相続人に子がなく、父母も死亡している場合には、被相続人の兄弟姉妹と配偶者が相続人となります。配偶者が死亡している場合は、兄弟姉妹が全部相続します。
    このように、配偶者は常に相続人となり、父母と兄弟姉妹は上の順位の相続人がいない場合のみ相続人となります。
     ただし、子が死亡している場合には、孫など(直系卑属(ちょっけいひぞく)とも言います。)が、兄弟姉妹が死亡している場合には、兄弟姉妹の子(被相続人の甥や姪)が各々の相続権を引き継いで相続人になります。これを「代襲相続」(だいしゅうそうぞくと読みます。)と言います。

     以上見てきましたが、上記で兄弟姉妹の子(被相続人の甥や姪)も既に死亡していた場合はどうなるのかと思われた方のためにご説明しておきますと、このケースに関してはさらに代襲相続はありません。参考になさって下さい。

    法定相続人

    2012年9月2日

    当事務所スタッフのヨシです。今回は相続税の問題を取り上げます。相続が発生した際、誰が相続人となれるのか、大事な問題であり出発点にもなります。法定相続人と題しましたが、「相続人」と読み替えていただいて構いません。役所の担当者は、「相続人はどなたですか。」と窓口で確認する場面はよくあります。「法定相続人はどなたになりますか。」とは、あまり尋ねません。
     相続の手続きは、遺言(法律用語では、しばしば「いごん」と読みます。一般には「ゆいごん」ですね。)がある場合と、ない場合とでは大きく異なります。まず、遺言がある場合、遺産は原則として遺言で指定されたとおりに分割されますので、相続人と受遺者(「じゅいしゃ」と読み、遺言により受ける財産を指定された方のことです。)の間の遺産分割についての話し合い(遺産分割協議)は不要となります。
     次に、遺言がない場合には、民法の規定により、相続人の範囲と順位が決まります。そして、この民法の規定により相続人となる人のことを「法定相続人(法定相続人と読みます。)」と言います。法定相続の場合には、法定相続人の間の遺産分割協議により遺産が分割されます。
     民法の規定により法定相続人になれる人は、配偶者(法律上の夫又は妻)、子、父母、兄弟姉妹(法律用語では、「けいていしまい」と読みます。)の4種類の立場の人です。ですから、遺言がない場合には、内縁の妻や夫はもちろんのこと、たとえ親族であっても嫁や叔父・叔母などは遺産を受け継ぐことができません。

     以上見てきましたが、もし、内縁の妻や長男の嫁、叔父・叔母などに遺産を残したいのであれば、遺言書を作成する必要があります。
    次回は、相続人の順位と範囲について見ていきます。

    相続税

    2012年8月19日

    当事務所のスタッフのヨシです。相続税とはどんな税金なのか、見ていきたいと思います。
     相続税とは親族などが死亡したことにより、財産を譲り受けた者に対して課税される国税のことです。死亡した人を被相続人(ひ・そうぞくにんと読みます。)と呼び、相続によって財産を譲り受けた人を相続人と呼びます。被相続人の財産を相続した相続人が、相続税を負担することになります。
     また、遺言(ゆいごんと読みますが、法律用語では、いごんとも読みます。)によって財産を譲り受けることを遺贈と呼び、この場合も相続税が課税されます。遺言により財産をあげる人を遺贈者と呼び、財産を譲り受ける人を受遺者(じゅいしゃと読みます。)と呼びます。遺言は亡くなった方の遺志を尊重する意味で、相続による財産の取得よりも優先されます。
     以上見てきましたが、私は相続税や次回説明する贈与税といった資産税に長年仕事に従事してきました。個人的には、この資産税については興味を持ってもらいたいだけでなく、知っておけば色んな場面でプラスになりますので、投稿の機会を見てわかりやすさを心掛けて取り上げていきたいと思っています。

    海外居住者が相続税の申告書に添付する印鑑証明書

    2012年8月5日

    当事務所スタッフのヨシです。少々特殊なケースを考えて見ます。早速事例を示します。

    被相続人甲は、今年4月に死亡しました。共同相続人のうち、Aは米国籍を有し、米国に居住しています。幸いにも、今、日本に帰国していますので、遺産分割協議を行い相続税の申告書を提出したいと考えています。この場合の添付書類はどんなもので証明すれば良いのかという問題です。

    回答は、米国籍を有するAの場合、印鑑証明書は取れませんのでパスポートで身分を証明し、アメリカ領事館又は公証人役場で同人の署名について認証を受けることができます。それを以って印鑑証明書に代えて遺産分割協議書に添付すれば良いことになります。なお、米国領事は、公証人の資格を持ち、私署証書の認証事務を行うことになっていますので、その認証は、日本の印鑑証明書に代わる役割を持っています。

    私の実務経験上、このケースは数件見てきました。参考になさって下さい。

    遺言書の内容と異なる遺産の分割

    2012年8月4日

    当事務所スタッフのヨシです。今回は、遺言書の内容と異なった遺産分割があった場合には、あくまで遺言書の内容によるのか、それとも遺産分割協議によるのかという問題を考えてみたいと思います。では、具体的事例を見ましょう。

    先月父が死亡し、相続人は長男、母と妹の3人です。父の遺産は、土地A(評価額8,000万円)、土地B(評価額6,000万円)、預貯金3,000万円、その他家財等500万円です。遺産について、相続人間で分割しようとしたところ、遺産のうち土地Bを長男に与える旨の遺言書がありました。しかし、相続人らは遺言書の内容と異なる遺産の分割協議を行い、長男は土地Aを、母は土地Bと家財等を、妹は預貯金の全部をそれぞれ取得することにしたケースです。

    回答は、各人の課税価格は、相続人全員で行われた分割協議の内容によることになります。長男への遺贈は特定遺贈であると思われますが、相続人全員の協議で遺言書の内容と異なる遺産の分割をしたということは、特定受遺者である長男が遺贈を事実上放棄し、共同相続人間で遺産分割が行われたとみるのが相当と考えられます。

    特定遺贈とは、遺産のうちの特定の遺産を指定して行うもので、一般にはこの方法で遺言する場合が多いようです。特定遺贈について、受遺者は原則として、遺言者の死亡後いつでも遺贈の放棄をすることができます(民法986条)。遺贈が放棄されると、放棄は遺言者の死亡時にさかのぼってその効力が生じます(民法986条2項)ので、遺贈の目的物は共同相続人に帰属することになります(民法995条)。

    以上見てきましたが、私の実務経験上、このケースの相談はほとんどなかったので、見受けることはなかったです。参考になさって下さい。