京都の税理士・中井康道税
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    国税不服審判所に裁判官がいるって本当!?

    2012年11月25日

    当事務所スタッフのヨシです。私は、元大阪国税局の職員でしたので、大阪国税不服審判所を取り上げて見たいと思います。裁判官はいらっしゃるのですよ。意外でしたか(笑)。

    大阪国税不服審判所には、トップの所長以下、所内構成は下記のとおりです。(平成20年度の職員録から)

    ナンバー2に次席審判官がいまして、「審理部」「第1部」「第2部」の3部構成です。配置構成は、各部に部長審判官が1人いて、審判官は計14人、副審判官は計10人、審査官は計19人となっています。

    この中の所長(内部では、首席審判官とも呼ばれます。)が裁判官です。所長に配属される裁判官は、裁判官の中でも税務訴訟の事件に相当精通した方のようです。所長は所長でも、不服審判所の京都支所や神戸支所のトップの「支所長」は裁判官ではなく、国税局の職員なのです。明確な違いがあります。

    私は、審判所に勤務したことはなかったので、職務の詳しい内容はわからないのですが、おそらく上記の「審査官」と呼ばれる方が、実働部隊じゃなかろうかと思っています。事件内容の審理や調査等をされるのではないかと思います。審査官から副審判官のチェックが入り、最終的に審判官の合議により、処分の判断がなされるものと思っております。この判断を基に、次席審判官や所長に決裁がされるという事務の流れだと思います(ここは、私の私見ですからね)。

    個人的には、在職時に一度で良いから審判所に勤務したかった思いがあります。現在、税務(会計)を研究している身ながら、思考過程の礎(いしづえ)になったはずだと思いますので。審判所の構成はこんなふうになっています。参考になさって下さい。

     

     

    国税不服審判所ってどんなところなの?

    2012年11月24日

    前回、国税不服審判所の名前を挙げましたので、見ていくことにします。

    国税不服審判所とは、納税者の正当な権利や利益を守ることを目的として、昭和45年5月に国税庁の附属機関(現在は特別の機関)として設置されました。本部(東京)のほか、全国に12の支部、7の支所があります。納税者が、国税に関する法律に基づき、税務署長等が行った課税処分、差押えなどの滞納処分等に不服がある場合、国税不服審判所にその処分の取消しや変更を求めることができます。

    国税不服審判所の構成人員を見ますと、実際には、国税局の職員等が多く、国税局寄りであるとも指摘も出ているのは事実です。ただ、こうした意見等も踏まえ、平成19年度より民間等からも採用され始めました。例えば、公認会計士や税理士それに大学教員等です。

    不服申し立てを行う際には、必ず税理士等の専門家と相談しながら事を進めていくのが必要と言えるでしょう。

    判決と裁決の違いって?

    2012年11月21日

    判決はご存じかも知れませんが、裁決はあまり馴染みのない言葉かも知れませんね。

    今回はその違いについて見ていきます。税務署等の処分が行われた場合の不服手続き(この手続き

    の説明は省略いたします。)のうち、国税不服審判所(この役所については、次回説明いたしま

    す。)により判断されるものを「裁決」と言います。裁判所により判断されるものが判決です。

    各裁判所の判決は「判例」として開示されます。最高裁判所の判例の場合は、余程のことがない

    限り変わらないものとされています。

     一方、裁決も、一定期間ごとに開示されていますが、こちらの方は「裁例」とは言いません。

    ですので、税金訴訟等の情報は一般的に「判例・裁決等」と言った呼び方をします。

    実務上は、判例や裁決、税務署が出している通達を参考にして判断していくことになります。

    ただし、通達は法令の解釈を税務署側の判断で行っているものなので、納税者の解釈と異なる場合

    も多々見られます。このような場合に「税金裁判」になることが多いようですね。参考になさって

    下さい。

    任意調査と強制調査

    2012年6月17日

    今回は、前回で見た個人課税部門や資産課税部門の仕事に関連して、税務調査の種類を見ていきたいと思います。

    (1)任意調査 税務調査というと、強制調査(通称マル査)をイメージされる方が多いかもしれませんが、通常の税務調査は、確認のために行われるものであり、納税者の同意を基としたいわゆる任意調査と位置付けられています。任意調査に関しては、各税法に規定されています。ただ、任意調査においても不答弁(税務職員の質問に対して答弁しないこと)、及び調査拒否等(例えば、税務職員の帳簿調査について帳簿を提示しない等)については、罰則が規定されています。刑事犯においては、自らの不利になることについての証言拒否など被疑者の不答弁が認められていますが、税務調査については、調査受忍義務が課せられています。

    (2)強制調査 不正の手段を使って故意に税を免れた者には、社会的責任を追及するため、正当な税を課す他に刑罰を科すことが税法に定めれています。こうした者に対しては、任意調査だけではその実態が把握できないので、強制的権限を持って犯罪捜査に準ずる方法で調査し、その結果に基づいて検察庁に告発し、公訴提起を求める制度すなわち査察制度が設けられています。この査察制度は、国税犯則取締法に基づいて行われる質問・調査・領置であり、裁判所の許可を得て臨検・捜索・差し押さえを行うこともできます。なお、その執行には、各国税局に配置された国税査察官が当たることになっています。査察事案についてはしばしば、検察庁への告発ということが考えられますが、税務調査から検察への告発ということはありません。国税調査官は、厳しい守秘義務が課されており、公務員の告発義務と守秘義務とは税務調査においては守秘義務が優先すると考えられるからです。

    このように見てきますと、通常の調査では確認できないような悪質で大口な脱税案件などの場合には、国税犯則取締法による強制調査が行われることとなります。通常の税務調査は、指導調査であり正しい申告の指導が目的です。不必要に警戒したり、恐れたりすることはありません。

    資産課税部門の仕事

    2012年6月10日

    こんにちは、スタッフのヨシです。私は中井事務所に籍を置く傍ら、学者を目指して勉強していますが、かつての職場についてお話しします。

    今回は、前回の個人課税部門の仕事に続き、資産課税部門の仕事を見ていきたいと思います。私は、かつて資産課税部門で仕事に携わってきた経験から、知っていただきたいと思っています。では、簡単に概略を下記のとおり、見ていきます。

    相続、贈与及び資産の譲渡に係る業務を行っています。大きく2つに分かれての業務です。①相談・指導・調査 相続税や贈与税、所得税のうち、土地や株式等の譲渡所得について、申告等の相談・指導・調査を行っています。②路線価の決定 相続税の計算に必要な土地評価の基準となる路線価などを決める事務も資産課税部門の仕事です。

    私の経験から特に相続税や譲渡所得税(譲渡所得は最近ではもっぱら損失の赤字が多いですが、バブル時期は納税額も高額となっていました。)は税額も高額となり、特例も含め計算方法等の相談は多かったですね。調査に関しては、機会があれば、相続税の調査の実態を守秘義務に抵触しない範囲で(笑)お話ししたいです。相続税の調査に行く納税者の自宅は、さすがに立派な邸宅が多かったことを思い出します。