京都の税理士・中井康道税
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    個人への低額譲渡

    2012年5月13日

    前回は個人が法人への低額譲渡を見ましたが、今回は個人が個人への低額譲渡を見ていきます。事例を挙げて見ましょう。

    Aさんは所有する宅地を息子に、時価1億円するところ、4,000万円で譲渡しました。この場合の課税関係について見ていきます。

    回答は息子に6,000万円(1億円-4,000万円)を父Aさんから贈与により取得したものとみなされて贈与税がかかります(相続税法7条)。ただし、Aさんには4,000万円で譲渡していますので、譲渡益が生じる場合には所得税(譲渡所得)がかかります。

    前回の法人への低額譲渡を思い出していただきたいのですが、時価の2分の1未満で譲渡した際は、譲渡人の個人には時価額で譲渡したものとみなされ、譲受人の法人は法人税(受贈益)が課税されるといった、ダブル課税が生じました。今回の個人が個人に低額譲渡した場合は、時価の2分の1未満という制約はなく、相続税法上「著しく低い価額での財産の譲受けた場合」と規定しているのみです。では、著しく低い譲受け(譲渡人からすれば譲渡)の判断の目安がポイントとなります。この場合は、相続税評価の算定根拠となる相続税評価額を下回る取引は、著しく低い価額と税務当局から認定されることになります。過去に東京地裁だったと思いますが、この件の争点とする裁判がありました。納税者は「相続税評価額での取引は著しく低い価額ではない」とする主張が認められ、納税者の勝訴となりました。