京都の税理士・中井康道税
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    直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税

    2012年3月31日

    今回は、直系尊属から住宅取得資金をもらった場合を見ていきます。制度のあらましとして、平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間に父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた受贈者(もらった方)が、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅取得資金を自己の居住の用に使用する家屋の新築又は取得をする時には、住宅取得資金の内一定金額について贈与税が非課税となります。

    受贈者の要件として、次の要件(代表的なものを例示しています)を満たす受贈者が非課税の対象となります。①贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(子や孫のこと)であること。なお、子や孫の配偶者は含まれません。②贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。③贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下であること。

    住宅取得資金の範囲として、住宅取得資金とは受贈者が自己の居住の用に使用する一定の家屋(※)を新築又は取得に充てるための金銭を言います。増改築も含まれますが、ここでは割愛いたします。

    ※一定の家屋とは、①家屋の床面積が50平方メートル以上であること。②購入する家屋が中古の場合、(ⅰ)耐火建築物(鉄筋等)の場合は、その家屋の取得の日以前25年以内に建築されたものであること。(ⅱ)耐火建築物以外(木造等)の場合は、その家屋の取得の日以前20年以内に建築されたものであること。ただし、地震に対する安全性に係る基準に適合するものとして、一定の「耐震基準適合証明書」又は「住宅性能評価書の写し」により証明されたものについては、建築年数の制限はありません。③床面積の2分の1以上に相当する部分(商売の方を想定しています)が居住に使用されるものであること。

    非課税の金額は、平成23年分(※)の贈与(なお、平成21年分と22年分は割愛いたします)において、平成22年分で非課税の特例を適用していない場合は1000万円となります。

    ※平成24年税制改正があり、非課税金額は平成24年分は1000万円。平成25年分は700万円。平成26年分は500万円となります。なお、省エネ・耐震の住宅家屋は割愛させていただきます。

    手続きとしまして、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、贈与税の申告書に計算明細書、戸籍謄本、住民票、登記事項証明書、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、受贈者の納税地の所轄税務署に提出する必要があります。

    以上見てきましたが、この制度自体は自民党の麻生政権の緊急施策として決定しました。「祖父母」の要件を加えたことも意味があったと私は考えています。住宅取得資金の贈与の制度の変遷を見ると、550万円までは非課税制度(父母や祖父母からの要件で基礎控除110万円までの非課税を5年分先取る考え方です。平成17年12月31日を持ちまして廃止となりました。)がありました。この制度にあった祖父母を要件に取り入れるべきだとの意見を踏まえたのではないかと思っています。個人的見解を言うならば、この直系尊属からの住宅取得資金の非課税制度について、非課税額の金額自体に変動はあるかもしれませんが、延長方向で調整は続けられるのではないかと考えています。

    結局、上の世代が抱え込んでいる金融資産をいかに下の世代にスムーズに渡していくかということなのでしょうか